321. 石灰処理水槽軽液の放置 2020年11月21日
第293節で石灰処理をして濾過した水槽軽液を室内に放置した。
写真1に放置経過の画像を示す。
放置途中から緑色の光合成微生物(シアノバクテリア)が繁殖するサンプルがあった。
写真2に放置最終日のサンプル2mlを遠心分離し、沈降物を顕微鏡で観察したときの画像を示す。
遠心分離軽液は50倍希釈してOD420nmとOD260nmを測定した。
その結果を①水槽軽液放置開始②水槽軽液2年放置③石灰処理直後(今回の放置開始時に相当)とともに図1、図2に示した。
OD420nmはいずれのサンプルにおいても放置により大きく減少した。
OD260nmは放置により減少するものの、その減少率は僅かであった。
図3に遠心分離軽液のOD420nm/OD260nm比の変化を示した。
石灰処理後の放置によりその比率は大きく減少した。
図4に軽液放置終了時のOD420nm/OD420nm比を燐酸濃度および尿素濃度に対してプロットした。
燐酸濃度が高いほどOD420nm/OD260nm比率は小さくなる傾向にあった。
尿素濃度は0.01%のときOD420nm/OD260nm比率は小さくなった。
シアノバクテリアが増殖するということは軽液に増殖に必要な栄養源が残っていたということであり、増殖しないということは石灰処理で栄養源が除去されたということである。
燐酸濃度が高いということは次2つの理由で色度が低下しやすくなると考えられる。
①石灰添加時に燐酸カルシウムと色素が共沈して除去される。
②燐酸はシアノバクテリア増殖の必須栄養源である。
燐酸を含有する糖蜜発酵廃液の場合には石灰処理を完璧に実施しないで燐酸を残すことによりシアノバクテリアで効率的に脱色できる可能性がある。
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