323. 磁石装着サトウキビの収穫 2020年12月3日
本節は297節の続きである。
種茎に種々の個数の磁石を装着し、生育状況にどのような差が出るかを調べるのが目的である。
このたびそのサトウキビを収穫し茎重量、生ジュース重量等の比較を行った。
写真1と写真2に生育経過を示した。
写真3、写真4は収穫したサトウキビの各部位への解体と洗浄前の茎、洗浄後の茎、搾汁後の茎(残渣)の状況を示した。
図1に装着磁石数と各部位の重量の関係を示した。
茎、根、トラッシュとも磁石装着なしの場合の重量が最も低く、磁石数2個のときの重量が最も高かった。
図2には総重量、図3には生ジュースおよび搾汁茎残渣重量について示したが、、いずれも磁石2個のときが最高であった。
図4に茎の本数と累積茎重量の関係を示した。
①磁石装着なしの場合は茎1本の重量も少なく、本数も少ないため累積重量が小さい。
②磁石装着2個のときは茎1本の重量はまずまずであり、本数が多いため累積重量が大きい。
③磁石を4個以上にしたときは、茎1本の重量は極めて大きいが、本数が少ないため磁石2個には及ばない。
写真5に生ジュース外観の比較を示した。
①生ジュースのT値は磁石2個と4個のときが大きく、明かるい色をしている。
②生ジュースのBrixは磁石装着したほうがしないより若干高い。装着した場合、磁石数により差はない。
③pHには明確な差は認められない。
写真6には収穫直後に水洗した根(正しくは地下部で根と種茎を含む)の写真を示した。
写真7は写真6の地下部を2日間屋外で風乾し、根と種茎に分離してそれぞれの重量を測定したものである。
図8に磁石数と地下部根重量比率の関係を示した。
磁石数2個および4個が極大となり、6個で低下したのち、磁石数とともに再び上昇した。
写真8は根を除去した種茎から磁石を取り外したときの状態である。
写真9は種茎表面をウエットチテッシュで良く拭き取ったときの茎表面の画像である。
極めて興味深いことに磁石数の増加により表面の色調は明らかに変わっている。
図9にはRGBを図10にはT値を図11にはRGB%を磁石数に対してプロットした。
磁石数が増えると茎表面の色は暗くなり、RとBの比率が上昇しGの比率が上昇する。
ずなわち紫味を帯びてくる。
切断面は磁石12個に紫色の斑点が見られた以外は差は認められなかった。
生ジュースの固形分の絶対値をBrixで示したのが図12である。
磁石装着が明らかに固形分を増やしている。
図13には地下部の根重量比率と生ジュース固形分の関係を示した。
磁石装着により種茎からの根の発達が促進されることが生ジュース固形分の増加につながったと考えられる。
図14には茎表面T値と地下部根重量比率の関係を示した。
茎表面色が明るすぎず暗すぎずのところが根の発達が良いようである。
以上より種茎への磁石の装着がサトウキビの収量を上げることは間違いない。
ただし、少しの磁石で良く、過剰な磁石数の増加はそれ以上の収量アップにつながらない。
研究日誌の目次に戻る