537. 蛇の死骸5 2023年7月1日

 本節は第480節の続きである。
 蛇の骨と繁殖した微生物フロックを混合して室内窓際に放置したときの経過を写真1に示した。
 夏から秋にかけて微生物フロックの量は増加したが、冬になるとその増加は止まった。
 春になっても微生物フロックが大きく増加することはなかった。
 炭酸ガスと水以外の栄養源の減少、細胞密度が増加してきたことが原因ではないかと考えらえる。
 ただし、微生物フロックはまだ濃い緑色をしているところから、増殖はできなくても細胞を維持できるだけの
 栄養源は存在していると考えられらた。


 ミネラルの供給源は蛇の死骸の骨だけであるので、放置液を沪過し、残渣にに含まれる骨の量を見てみた。
 図1に沪過の状況を示す。沪液のECは0.1 mS/cmと非常に低く、光合成微生物が旺盛に増殖するだけのミネラルは
 溶解していないと言える。

 図2には沪過残渣から微生物フロックと骨を分離したときの状況を示した。
 骨は太く短い骨と細く長い骨に分けた。
 両者とも再放置開始時点に比較して、大きく減少していることはなかった。
 当初、骨がほとんど溶解するのではないかと期待したが、そのようなことはなく骨は残存していた。



 分離した骨は図3のように水洗した。


 水洗した骨は図4に示すように60℃で24hr乾燥した。



 図5には乾燥前と乾燥後の微生物フロック、太く短い骨、細く長い骨の相対重量を比較した。
 乾燥前は微生物フロックの重量が圧倒的に多いが、乾燥後は太く短い骨の重量が最も大きかった。

 

 写真2に微生物フロックの顕微鏡画像を示した。
 再放置前は球状細胞が多かったが、今回は市場糸状のシアノバクテリアが多かった。

 微生物フロックの中には写真3に示したような原生動物も認められた。
 この原生動物は口のようなところから液を取り入れ、肛門のようなところから液を排出している様子が観察できた。
 体内には無数の顆粒が動いており、その中には光合成微生物と思われるものもあった。
 この原生動物が何か私には分からないが、黒色物質を移植したバガスにも存在していた。
 


 シアノバクテリアの増殖に残った骨が影響するかどうかを見るために、乾燥した骨を図6のように破砕し、これを微生物フロック、沪液に混合し
室内窓際に再放置することにした。その様子を図6に示した。
 



 私の仮説は蛇の死骸は最終的には全てシアノバクテリアになるということである。

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