49. 納豆土に還る 2015年1月21日

(1)はじめに

 糸引き納豆は日本人にとって欠かせない発酵食品であって、その製造方法は図1に示す通りである。

 
 私は納豆菌を別の実験に使いたくて市販の納豆を水に懸濁して写真1のように上澄み液と大豆に分離した。
白く、濁った上澄み液にはネバナバ物質とともに納豆菌が無数に存在しているはずだ。
そこで、納豆菌の実験にはこの上澄み液を使用すれば良い。


 さて、余った大豆の方をどうしょうかと考えたのだが、そのまま捨ててしまうのももったいないのでサトウキビ畑の土の上に置いてどのような変化が起こるかを観察することにした。


(2)サトウキビ畑の土の上においた納豆(大豆)の変化(写真2)

 土の上においた大豆は乾燥されてだんだん小さくなり,暗色化してすぐに土と区別がつかなくなると予想していた。
ところが、雨が降ると水分を吸収してまたもとの大きさにまで膨張し、色も明色化した。
その変化は劇的であった。

写真に1,2,3,4の数字を記載しているが、これは新たな納豆を置いた回数である。
1は2014年11月2日に洗浄した納豆を置いた。2,3,4はそれぞれ11月22日、11月26日、12月5日に洗浄していない納豆そのものを置いた。
 土に置かれた納豆は乾燥と雨による水分の吸収により、収縮と膨張を繰り返し、その間、とくに水分の多いときには微生物に食べられてしだいに小さくなっていく。
2014年の12月30日には、土の上の納豆をいくら探しても見つからなかった。12月27日は多少とも豆の形を確認できたのでわずか3日で微生物の作用により消失するはずはない。
実は12月30日に強風が吹いたので、それで吹き飛ばされてしまったのではないかと考えられる。

 




(3)洗浄した大豆表面の変化(写真3)






(4)洗浄しない大豆表面の変化




(5)降水と大豆表面RGB値の関係

 図2および図3には2014年11月と12月の延岡市の毎日の降水量とともに大豆表面のRGB変化を示した。
これによれば、雨が降ったときにRGB値は上昇し(明色化)、雨が降らないときにはRGBが下降(暗色化)していることがわかる。

 

 畑の土の上におかれた納豆はまさしく太陽と風雨によって風化され、暗色化し土に還っていく。



研究日誌の最初のページに戻る