60. 日本人と中国人の皮膚色差についての仮説 2015年6月23日

 27節に記載したように日本人女性と中国人女性の皮膚色を比較してみると中国人女性の方が明るい色をしている。
これはいったいなぜだろう。
改めて、そのT値(R+G+B)の分布を比較してみると図1のようになる。



 T値の累積分布が50%となるT値は図2のようになる。


 これより皮膚色の明るさはアメリカ(コーカソイド)>中国(モンゴロイド)>日本(モンゴロイド)>アフリカ(ニグロイド)となる。
アフリカで誕生した現生人類はもともと暗い皮膚色を持っていた。それが紫外線の弱い高緯度に移動し、その場所に長くとどまることにより種々の明るさの皮膚色を持つようになった。
(ワンダムおじさんの糖蜜色研究:4.3 地球の緯度とそこに住むヒトの皮膚色)
同書の表13から高齢者と異常なデータを除いて緯度と顔の皮膚色のT値をプロットしたのが図3である。




 図3に図2の50%T値をあてはめてみると、相当する緯度はアフリカ(ニグロイド)12°、日本(モンゴロイド)32°、中国(モンゴロイド)41°、アメリカ(コーカソイド)45°となる。

この緯度を世界地図にあてはめてみると図4になる。
現生人類の第1の故郷はアフリカであるが、アフリカを出てからその集団が長くとどまった地域、すなわち第2の故郷が日本人と中国人では異なっているのだと考えられる。

 塩崎の著書から引用したヒトのY染色体遺伝子の系統図は図5のようである。この中で日本列島に辿りついた系統はC,D,N,Oの4種類である。

 同じく塩崎の著書より引用して、日本列島と東アジアのY染色体の比率を比較すると図6のようになる。
これを見ると、日本列島と東アジアの分布は大きくことなっていることがわかる。
最も大きな違いはD2系統は日本列島に住むヒトだけが持っていることである。
C3系統、O3系統ともに日本列島は東アジアより相当に低い。


 さらに塩崎の著書よりY染色体C,D,O系統の移動ルートを引用したのが図7である。
これを見るとC系統は北緯41°より高緯度に長く留まった可能性があり、その皮膚色は明るくなったものと考えられる。
D系統は北緯32°付近に長くとどまった可能性があり、皮膚色はやや暗くなったものと考えられる、
O系統は北緯32°と41°の間に長く留まった可能性があり、皮膚色はC系統とD系統の中間になるはずである。

 日本人の皮膚色が中国人よりやや暗いのは日本列島に住むヒトのみに存在するD系統遺伝子に起因するのではないかと考えられる。
おそらく、日本人には現在よりもっと南で長く過ごした人々を先祖に持つヒトが多いのだろう。
そこが日本人の第2の故郷である。

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