65. 刈らなかったサトウキビのその後(新畑) 2015年8月4日

  ここでは「51.刈り残したサトウキビ」のその後の変化について記載する。



(1)サトウキビ畑全体の変化 (写真1)

 5月に入ると刈り取ったサトウキビから新しい芽が出始める。
サトウキビ畑の向こうにある家が6月中ははっきりと見えるが、7月にはサトウキビが成長してこの家が隠れてしまう。



(2)刈り残したサトウキビの変化

 写真2は刈り残した株の本数および大きさの大きい順に ①2月25日②5月15日③7月9日の状態を比較したものである。
これらの株で共通して言えることは以下のとおりである。
①2月25日は枯れずに残っている葉は茎の上末端、すなわちショウトウ部のみである。
②5月15日にはショウトウ部の葉が枯れていく。 同時に茎の節と根本から新しい芽が出てくる。
③7月9日には茎から出た芽、根本から出た芽の両方が成長し、株全体が新しい緑色の葉で覆われる。







 表1に根元および茎で新芽が発芽したかどうかをまとめた。
発芽ありの場合1ポイントを与え、発芽なしの場合は0ポイントとした。
これより最初のサトウキビ本数(残存本数)ごとの発芽率を計算し、図1にその関係を示した。
 これによれば、根元からの発芽は残存本数にかかわらず起こった。
一方、茎からの発芽率は残存本数の少ない(1本または2本)株で大きく低下した。
根はすべての株で健全であるものの、茎は枯れて発芽能力を失うことがあると考えられる。



(3)最も本数の多いH4株の変化詳細

 H4株は2014年度最も大きく育った株である。
4月8日まではショウトウ部の枯れた葉が落ち、葉の容積が少しづつ減少してゆく。
茎や根元に変化は見られない。



 5月になり、隣の家に鯉のぼりがあがるころ根元から新芽が出てくる。


 6月になると根元の発芽が増えるとともにそれが成長する。茎からも発芽し、ショウトウ部の容積が増加していく。


 7月になると新しく出た芽がさらに生長し、株全体が緑を覆われる。



(4)茎の節から出た芽の気根

 空中にある茎の節から出た芽にはかなりの確率で写真4のような気根ができてくる。
2年目の茎は本来なら地中に移植されて種茎となる。移植されなくてもそのまま空中で根が出てくるというのは面白い。



 刈り残したサトウキビは今後どのように成長していくのか、観察を続行する。


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