92. スエヒロタケが生えたサトウキビ茎の液体培養 2016年6月15日

(1)はじめに
  前節でスエヒロタケは生えたサトウキビ茎を水に浸漬すると水相にスエヒロタケ菌糸体および多糖体と推察される物質が生成したことを述べた。
本節ではそのような茎を水中で通気して、スエヒロタケの液体培養を試みた。


(2)スエヒロタケが生えたサトウキビ茎の準備

 写真1に液体通気培養の準備状況を示す。通気は水槽用のエアーバブリング装置を使用した。
茎そのものは極めて軽く、前節と同じく水に浮遊した。



(3)液体培養経過の写真

 4月21日から5月11日までの経過を写真2に、5月12日から5月18日までの経過を写真3に示した。
液体通気培養は6月4日まで続行したが、5月18日以後はカメラのインターバル撮影の設定ミスで写真撮影はできなかった。
 
 


(4)液体培養経過

①累積水添加量
 最初2,000gの水を添加してスタートし、途中で蒸発分を補うため500g*2回の水を添加した。



②液温変化

 気温の上昇とともに液温も上昇した。



③pH変化

 5月15日ころまでpHは上昇し、その後低下した。

 

④液のRGB変化
 
 培養開始から約1週間まではRGBともに低下し、培養液は濃い糖蜜色となった。
それ以後5月11日まではほぼ一定となった。
 5月12日以後のデータはない。




(5)培養濾液の取得


 取得状況を写真4に示す。
 また、開始時と終了時の重量バランスを表1に示した。

 

 培養中に約660gの水が蒸発し、切断茎は水を吸収して重量は約4倍となった。


(6)培養濾液からのエタノール不溶部と可溶部の取得

 培養濾液にはスエヒロタケによって分解または合成されたサトウキビ茎由来成分が含まれているはうである。
培養濾液を図5の手順で濃縮しエタノール抽出で不溶部と可溶部に分画した。



(7)エタノール不溶、可溶画分取得までの経過写真

①培養濾液の濃縮



②2次濃縮液のエタノール抽出


③エタノール可溶部と不溶部の蒸発乾固




(8)終わりに

 保存してある下記3種のサンプルについては水で溶解し紫外可視吸収スペクトルを測定する予定である。
 ①培養濾液 ②エタノール濾液乾固物 ③エタノール沈降部乾固物

 茎残渣については、室内に放置しスエヒロタケまたはそれ以外の糸状菌の発生が起こるかどうかを観察している。

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