96. スエヒロタケ-サトウキビ分画物のオキシドールによる脱色 2016年7月6日

 94節でスエヒロタケ-サトウキビ培養物のエタノール不溶画分にはMSG-グルコース系のメイラード反応を抑制する作用があることを述べた。
ここでは、その分画物をオキシドールで脱色した場合にメイラード反応抑制作用はどのように変化するかを実験した。
 オキシドールによる脱色方法を表1に示す。
オキシドールは外用殺菌消毒剤で過酸化水素2.5~3.5w/v%を含有し、鎮痛剤フェナセチンと過酸化水素の安定剤リン酸が添加してある。
脱色作用のある成分は過酸化水素であり、ほんとうは純粋な過酸化水素水を使用したかったが、私設実験室ではそのような危険物は入手できないので、その代わりにオキシドールを使用した。



 過酸化水素の残留をなくすために、処理物は蒸発乾固し、これを水で溶解してからMSG-グルコース混合液と混合した。(表2)



 反応前のサンプルの紫外可視吸収スペクトルを図1に対照との吸光度差のスペクトルを図2に示した。


 オキシドールを添加しないときの対照との吸光度差スペクトルを100%としたときの相対吸光度差を図3に示した。
 オキシドールによって最も減少しない波長は220nmでその前後の波長で吸光度は減少する。
 220nm以上の波長では長波長になるほど吸光度の減少率は大きくなった。
 
 

 60℃反応時の色変化を表3に、48hr反応後の紫外可視吸収スペクトルを図4に示した。
 

 反応前後の吸光度増のスペクトルを図5に、対照の吸光度増を100%としたときの相対吸光度増のスペクトルを図6に示した。

 

 これより可視部の相対吸光度増が減少するのはオキシドール脱色をしない場合のみで、オキシドール脱色をしたサンプルはメイラード反応抑制作用が消失していると言える。

 この結果は図7のプロットからも同様の結論を得ることができる。



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