273. 最終煮詰め温度と黒砂糖の形態 2010年1月28日

 黒砂糖をつくるときの最終に詰めの温度を1人作業で記録するのは大変である。
撹拌を続けなければならないので、測定した温度を記載する手が足りないのである。
それでは、撹拌機を付ければ良いのではと言われるかもしれないが、いまのところ適当なものは見つかっていない。
 そこでデータロガーを購入して記録することにした。
LASCAR electronics社のEasyLog USB Data Logger である。
 煮詰め時の温度経過を測定した黒砂糖つくりの経過を表1(収穫No.3)、表2(収穫No.4)、表3(収穫No.5)に示した。



 データロガーに記録した最終煮つめの温度経過を図1,2,3,4に示した。
 図1,2,3はそれぞれ3バッチ分である。
 図4はNo.5-1Bの再煮詰めの温度経過である。
 ピークがいくつかに分けれているのは発泡して溢れるのを防ぐため、火力の強さを調整したためである。
 
 
  
 

 図5に100℃以上の平均温度と最高到達温度をプロットし、そのときの黒砂糖の形態を示した。
 平均温度105℃~120℃(推定)、最高到達温度110℃~150℃では正常なブロック状の黒砂糖になった。
 平均温度105℃未満、最高到達温度110℃未満は煮詰め不足で水飴状の黒砂糖になった。
 平均温度130℃以上、最高到達温度165℃では煮詰めすぎでキャンデイー状の黒砂糖になった。
  

 煮詰め不足で水飴状になった黒砂糖を写真1のように処理した。
 ホットプレートで加熱して流動性を良くしてガラス瓶に移し室温での保存を開始し、どうのような形態変化が起こるかを観察することにした。
 ガラス瓶に写らずパット底に残った部分を食器乾燥機で乾燥と掻き取りを繰り返した。
 最終的に底残存分は結晶の塊のようになった。(写真2)
  

 

 煮詰め過ぎてキャンデイー状になった黒砂糖を食器乾燥機で乾燥と掻き混ぜを繰り返すと、最終的に結晶が析出し通常のブロック状黒砂糖を
潰したような形態になった。(写真3,写真4)
 

 

 

 従来は飴状やキャンデイー状になった場合はあきらめて放置したが、加熱乾燥と掻き取り掻き混ぜを繰り返すことによりショ糖の結晶が析出し
パサパサの形態に変化することが分かった。


研究日誌の目次に戻る