285. 2019-2020年度黒砂糖の紫外可視吸収スペクトル 2020年4月10日

 2019-2020年度に製造した黒砂糖を小袋包装したときのサンプルを一部抜き出し、水に溶解して紫外可視吸収スペクトルを測定した。
 方法は以下のとおりである。
 ①黒砂糖約1gを計量し、水道水を添加して100gとした。
 ②1wt%の黒砂糖水溶液1mlを水道水10mlで希釈し、紫外可視吸収スペクトルを測定した。
 ③吸光度は黒砂糖濃度1wt%のものを11倍希釈したように換算した。
 Lot No.ごとの各種測定データを表1に示した。



 表2に目標濃度1wt%の黒砂糖水溶液の画像とRGBを示した。
 

 図1は測定した紫外可視吸収スペクトルである。
 195nmにピークが270nm付近にショルダーが認められた。
 

 色度を示すOD410nmとショルダーのOD270nmおよびピークのOD195nmのピークを図2に比較した。

 

 図3に示すように代表OD間には正の相関が認められた。
 特にOD420nmとOD270nmの間には強い相関があることから、420nmの吸収は270nmの吸収の麓に相当するとみて良い。
 
 図4に示すようにOD420nmと1%水溶液のT値には負の相関が認められた。

 

 収穫No.6,7,8は最終煮詰め時の火力を変えて実施した。
 No.6は前期間中強火で煮詰めをおこない、No.7,No8は沸騰開始までは強火でその後は弱火で実施した。(写真1)
 

 No.6,7,8の最終煮詰め時の温度変化を図5に示した。

 図6と図7に示すように強火で急速に加熱し温度が高くなった場合にはOD420nmは増加し、弱火でゆっくりと加熱した場合には
OD420nmは減少した。
 これにより、最終煮詰めの加熱速度を変えることにより黒砂糖の色度を変えることができる。
 
  サトウキビジュース加熱時の紫外可視吸収スペクトルについては以下も参照さらたい。

  157節 サトウキビジュースの200℃蒸発乾固
  158節 白砂糖水溶液の200℃蒸発乾固
  160節 サトウキビジュース濃縮中の紫外可視吸収スペクトル
  161節 サトウキビジュース蒸留留出液の紫外可視吸収スペクトル

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