307.石灰処理糖蜜発酵廃液の光合成微生物処理 2020年8月15日

 第294節では糖蜜発酵廃液に消石灰を添加してメラノイジンを凝集除去した濾液を放置し色度、電気伝導度、pHの低下を確認した。
本節ではこの放置濾液に光合成微生物を添加し、色度と電気伝導度をさらに低下させることがどうかを確認した。

 使用した微生物の起源は糖蜜色コレクション277節「アジサイの花の色変化」で記載した。
すなわちアジサイを挿した水に生育した光合成微生物を濾過した濾液を写真1のように約1年窓際に放置して再度生育した微生物である。
 その理由は極少ない栄養源しかないと考えられる残水でも生育してきた微生物であるので、強い無機塩吸収能力があると期待したから
である。



 写真2にその微生物の顕微鏡画像を示した。
  

 光合成微生物は濾過により回収し(写真3),透析チューブに充填した。(写真4)
 
 

  
 広口瓶に石灰処理液(第294節の最終放置濾液)を充填し、この中に微生物を入れた透析チューブを吊した。
 広口瓶はガラスシャーレで蓋をし、LEDスタンドで常時照明をした。
 

  

 写真6に放置経過の状況を示す。
 最初の考えは微生物は透析チューブに封じ込め、固定化菌体のように扱うことであった。
 しかし、充填時に透析チューブ外部に付着していた微生物が増殖をはじめた。
 また最終段階(8月4日)には透析チューブをはずし、微生物はすべて自由な状態にした。
 
 時間の経過とともに液の色は黄色から、ゆっくりと無色に近づいていく。
 図1にRGBの経過を図2にRGB%の経過を示すが、R%とG%がゆっくり減少し、B%が比較的早く増加している。

   

 放置中、蒸発水分は水道水の添加で補った。
 図3には水添加後の正味液重量計かを示す。

  
 
 図4には添加水累積重量の経過を示した。 

    

 図5にはpHの経過を示す。
 pHは光合成微生物により炭酸イオンが消費されて上昇した。
    

 図6には電気伝導度の経過を示す。
 光合成微生物により無機塩が消費されていると考えられる。
 もともとの糖蜜発酵廃液の電気伝導度は1.5(ms/cm)であったが消石灰の添加により3.0(ms/cm)まで上昇した。
 これを放置することにより炭酸カルシウムとして沈降し1.3(ms/cm)に減少した。
 さらに光合成微生物処理により0.6(ms/cm)に減少した。


    

 図7に濾液の紫外可視吸収スペクトル、図8に放置開始時を100%としたときの相対ODスペクトルを示した。
 光合成微生物処理により210nm付近の吸収が大きく減少している。

    
    

 図9に相対ODの変化を示した。
 光合成微生物処理によりいずれのODも減少し、特にOD210nmの減少が顕著であった。
 
   

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