373.回収したバガスの温水および炭酸ナトリウム水溶液抽出 2021年12月5日


 第372節で風乾、破砕した回収バガスを温水および0.1%炭酸ナトリウム水溶液で抽出した。
 その手順は以下の通りである。
 ①破砕回収バガスを0.50gを採取し70℃の水を添加撹拌後4hr室内に放置し、pH測定後 2mlをサンプリングし凍結保存。
 ②温水抽出液に1%炭酸ナトリウム水溶液5mlを添加し(混合後0.1%となる)、撹拌後室内に一夜放置し、pH測定後2mlをサンプリングし凍結保存。
 ③凍結保存したサンプルは冷蔵庫内で解凍し、遠心分離後その上澄を水で10倍希釈し紫外可視吸光スペクトルを測定。
 その経過を表1に示した。



 図1に推定相対深さと温水抽出液のpHの関係を示した。
 相対深さの増加によりpHは直線的に低下した。
 深くなるほど酸性物質が多いことが示された。
 図2に推定相対深さと炭酸ナトリウム抽出液pHの関係を示した。
 相対深さ50%までpHは増加し、それ以上の深さではほぼ一定となった。
 pH増加の原因は深いところのサンプルはカルシウムが多く、それが炭酸イオンと反応しNaOHが遊離されるためではないかと考えた。



 図3と図4に温水抽出液および0.15炭酸ナトリウム抽出液の紫外可視吸収スペクトルを示した。
 線の途切れているところは分光光度計の異常で数値が異常に高くなったため削除している。
 いずれも250異常の波長で波長 vs. 吸光度の対数がほぼ直線となる一般吸収を示している。



 図5に推定相対深さと抽出液のODの関係を示した。
 温水抽出液では相対深度60-80%でODが最も高くなり、炭酸ナトリウム抽出液では相対深度80-90%でODが最も高くなった。


  図6に推定相対深さとOD400nm/OD250nm比の関係を示した。
  この比率が高いほど腐植物質の高分子化が進んでいると考えられる。
  比率が高いのは比較的浅い相対深さ20%付近で、それより深くなると比率は低下している。
  深いところの腐植物質の量は多いものの、微生物の働きにより低分子化が進んでいるのかもしれない。
    

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