422. 2022年生育サトウキビの加熱生ジュースの沈澱分離 2023年2月25日

 前節で加熱した生ジュースを一夜放置して懸濁している灰汁沈殿を自然沈降させた。
 昨年度は沈降容器として深鍋を使用したが、最後に実施したペットボトルでの回収率が高かったため、今回は3Lのプラスチックビーカーを使用することにした。
 軽液は写真3に示すようにサイホンを使って回収した。
 沈殿分離の状況を写真1と写真2に示した。




 サイホン分離の重量バランスを表1に示し、収穫No.ごとの軽液比を図1に示した。

 収穫No.が進むごとに軽液比が減少する傾向にあるので、図2に昨年度と今年度のサトウキビ刈り取り日と軽液比の
関係を図2にプロットしてみた。



 図2より以下のことが言える。
 ①刈り取り日が遅くなると沈澱の沈降性が悪くなり軽液比が低下する。
 ②昨年度の深鍋による分離より今年度の3Lビーカーによる分離が明らかに良好である。

 刈り取り日が遅くなると沈澱の沈降性が悪くなるのは、今回はじめて認めた減少である。
 サトウキビが寒冷下に置かれることにより何らかの成分変化が起こっていると考えられる。
 今回の3Lビーカーを使用した場合にも沈降層上部の沈殿物は極めて軽く、容易にサイホンに吸い込まれてしまうため
 完全に軽液を回収することは困難である。
 大型の遠心分離機があれば、軽液の回収率は簡単に上がるが、私設研究室で購入することは難しい。
 今考えている案は黒大豆きな粉を生ジュースに添加すれば、それが凝集剤の役目を果たしよりコンパクトな沈澱物が
 得られるのではないかということである。
 この沈澱物は黒大豆きな粉と混合し麹発酵原料とすることが目的なので、最初から黒大豆きな粉が混入していても
 何ら不都合はない。
 きな粉の使用により黒砂糖の性状や味が変化する可能性はあるので、来年度の収穫時にはこの点を検討したい。

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