157. 葉桜 2017年5月2日
研究日誌「131.雀の遺体」で土を被せた雀の遺骸が散った桜の花で覆われたことを記した。
その桜の木は私の研究室のベランダの近くにある。
満開の桜が葉桜に変わっていく様子を記録したのが写真1である。
花の比率が減少し、葉の比率が増加していく変化を定量的に見るために、画像を区画に分け、各区画が花か葉かを判定して比率を計算した。(図1)
葉桜率の変化を図2に示す。
一方、雀の遺骸に落ちた桜の花びらも糖蜜色に変色していった。(写真2、図3)
桜色を残した花びらの枚数は図4のように減少した。
葉桜率と糖蜜色化した花びらの比率は図5のように強い相関があった。
満開のとき散った桜の花びらが糖蜜色化していく速度と花が散って新しい葉がでる速度とはほぼ同じなのだ。
花びらの死に行く速度と生きていくためのエネルギーを太陽から獲得するための葉の生長速度が一致するのは
偶然でないような気がする。
もちろん、散った花のおかれていた状況によって花びらの糖蜜色化は変化する。
乾燥状態では変色速度はきわめて遅いし、水にぬらすと変色速度は速くなる。(糖蜜色コレクション106.桜)
このたびの花びらは屋根のあるベランダの土の上にあったので、ほどよく雨に濡れることができる。
しかも、桜の木とは10m程度しか離れていない。
来年も桜の季節になったら、詳しく観察してみようと思う。
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