263. 土葬雀強熱残渣 2019年1月14日
前節でガスコンロで強熱加熱して得た土葬雀の残渣をまとめて粉砕した。(写真1)
強熱残渣は燐酸カルシウムを主成分としていると考え、これを85%燐酸に懸濁したらある程度溶解するのではないかと考えた。
写真2に示す通り示す通り、懸濁して一夜放置すると均一な黒色溶液となった。
一夜放置後の85%燐酸懸濁液を水で希釈すると微粒子が分散した糖蜜色の液となった。
これを沸騰するまで加熱すると、凝集がおこり沈殿物が底に沈み、デカンテーションで容易に分離できた。(写真3,写真4)
デカンテーション重液を遠心分離(6,000rpm*10分)し、軽液を除去して水に懸濁し再び遠心分離を行った。(写真5)
沈殿物は遠心管底部のみでなく内壁全体に沈降した。
写真6に洗浄沈殿を写真7に分離回数ごとの軽液の写真を示した。
軽液はいずれも無色透明で、糖蜜色物質は沈殿部に移行した。
洗浄沈殿を写真8に示すように再度ガスコンロで強熱した。
加熱残渣を水に懸濁すると白濁していたが、遠心分離すると明らかに糖蜜色であった。(写真9)
写真10に洗浄沈殿(写真6)の顕微鏡画像を示す。
糖蜜色をした不定形の凝集物が認められた。
写真11には強熱残渣(写真9)の顕微鏡画像を示した。
糖蜜色の凝集物は写真10より少ない物の、糖蜜色の粒子が認められた。
図1に遠心洗浄軽液の紫外可視吸収スペクトルを示す。
紫外部の吸収は1回目>>2回目>3回目で、これは燐酸および燐酸に溶解した残渣成分によるものであろう。
一方、可視部の吸収は1回目、2回目、3回目で大きな差はない。
可視部に吸収を有する成分(糖蜜色成分)は燐酸に溶解せず、沈殿に移行するとみられる。
ベランダで雀の遺体を見つけたのは2016年8月7日のことである。(研究日誌131節)
あれから、2年5ヶ月が過ぎ、僅かな糖蜜色の遺骸が残った。
遺骸の糖蜜色は強熱しても消失しなかった。
おそらく、糖蜜色の由来は鉄の酸化物であろう。
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