468. カボチャ残渣の水添加放置 2022年5月31日
第302節のカボチャの放置残渣を写真1のように破砕し、水を添加して35℃で2日間インキュベーションした。
その経過を写真2に示した。
水を添加してのインキュベーションにより微生物コロニーの発生を期待したが、2日間では発生は認められなかった。
そこでラップで覆い、室内に放置を続けたところ2019年9月30日に白い微生物コロニー(カビと考えられる)が確認できた。
尚、放置中は重量が一定になるよう蒸発分を水道水で補填した。
写真3~10に2019年9月22日から2022年5月23日まで放置したときの外観経過を示した。
写真11は放置開始時(2019年9月20日)と放置終了時(2022年5月23日)の放置残渣の状態を比較した。
放置により荒い粒子が減少していることがわかる。
放置中にゆっくりと分解されたと考えられる。
写真12に表面に発生した微生物コロニーを示した。
最初発生した微生物コロニーは途中で見えなくなったが、2022年7月に撹拌したところ再び表面に出現した。(写真8)
図1に放置残渣の重量変化を示した。増加しているところは水道水の補填による。
図2は累積水添加量と累積重量減の経過である。
図3は表面のコロニー被覆率の経過である。
コロニーが見えない期間が長いが、内部ではカビは生存していて、ゆっくりと残渣を分解していたと考えられる。
表1に表面中央部のRGBとRGB%を示した。
図4は表面のRGBの経過である。
Rは明らかに上昇、GとBはわずかに上昇した。
図5は同じくRGB%の経過である。
2021年の春から夏にかけてR%が最も大きくなったが、最終的に比率は開始時とほぼ同じであった。
図6に4ヶ月間のRGB平均値を示した。
いずれも典型的な糖蜜色である。
全体としてはR,G,Bともに上昇した。
放置最終残渣は写真13のように60℃で乾燥し、写真14のように煮沸抽出を行った。
写真15は抽出濾過残渣の60℃乾燥経過である。
抽出濾液は写真16に示すように濃縮し、写真17のように60℃で乾燥した。
図7は60℃での乾燥残存重量、図8は相対残存重量の経過を示した。
放置最終残渣の相対重量は20%であるから、水分の含有率は80%であった。
熱水(煮沸)抽出時の固形分バランスを図9に示した。
ろ紙(ペーパータオル)への濾液付着が多いことと、濾過残渣の完全な回収はできないので取り扱いロスは覆い。
濾過残渣と濾液の固形分比率は 44%:32%=100%:73%と濾液に移行する固形分が意外に多かった。
ただし。濾液には写真18にしめすように不溶固形分がかなり存在していた。
抽出濾液の遠心分離上清の紫外吸収スペクトルを図11に示した。
22nmに大きなピークがあり、260-290nmおよび320-340nmに小さなショルダーがあった。
写真19には抽出残渣および抽出濾液乾燥物に水を添加して懸濁または溶解したときの状態を示した。
驚くべきことに懸濁液のpHは10を超えていた。
この懸濁液は室内放置を継続することにした。
収穫したカボチャの放置を開始してから3.7年が経過して残渣の放置を終えた。
今後はpH10を超える水懸濁液の経過が楽しみである。
コレクションリストに戻る