22.バナナの皮の黒変 2014年6月18日
(1)はじめに
バナナを放置するとその皮に褐色の斑点ができ、最後には全体が黒変してしまう。(コレクション7.バナナの皮の褐変)
色々観察しているうちに、バナナの皮を中身から剥がして、皮だけを放置しておくと黒変速度が著しく速くなることを知った。
そこで、黒変速度に影響を与える因子について検討してみることにした。
(2)種々の条件を変えたときの経過写真
①室温で放置した場合、シャーレの上蓋をしないと黒変速度が速くなる。(写真1)
② 36℃でシャーレの上蓋をした場合。室温よりは黒変速度は速くなる。(写真2)
③36℃でシャーレの上蓋をしなかった場合、皮片が小さいほど黒化速度は速くなる。(写真3)
④40℃でシャーレの上蓋をしなかった場合、皮片が小さいほど黒化速度は速くなる。(写真4)
(3)白色度の経過
(5)白色度が20%に到達する時間
図2より以下のことが言える
①蓋がある場合とない場合ではない場合が黒化速度が速い。
②温度は高い方が黒化速度が速い。
③皮片はは小さいほど黒化速度が速い。
(6)黒変速度は皮の乾燥度合いに関係する。
シャーレーの蓋をするかしないかで最も大きな差がでるのは、乾燥速度である。そこで、乾燥度合いが黒変に影響するのではないかと考え、蓋をしなかった場合の相対重量変化を測定してみた。
そして残存相対重量と白色度の相関を見ると、図4のようになった。
両者には正の相関があり、これより乾燥するほど皮の黒変速度が大きくなると結論できる。
(7)おわりに
バナナ皮の黒変はポリフェノールオキシダーゼ(チロシナーゼ)によるメラニン様色素の生成によるものである。
これは、サトウキビジュースを放置したときに起こる褐変現象と類似している。(ワンダムおじさんの糖蜜色研究3.1サトウキビジュースの色とポリフェノール)
通常、ポリフェノールオキシダーゼは植物細胞が損傷を受けたときに活性が現れ、キノン類が重合してできた褐色色素が傷口を塞ぐ。
バナナの場合も皮を中身と分けたり、皮を小さく切ると、それだけ損傷は多くなるわけであるから、黒変速度が速くなるのであろう。
乾燥もまた細胞の損傷を促進しているからだろう。
研究日誌最初のページに戻る