70. ミニ樽熟成酒の色 2015年10月3日

  ここではミニ樽に約2ヶ月間貯蔵して熟成させた時の色変化の観察結果について記載する。
 写真1はミニ樽から出しているときの様子、写真2は出し終わった熟成酒、写真3は0日(貯蔵前)、貯蔵41日、貯蔵59日にサンプリングして冷蔵庫に保存しておいたサンプルの写真である。
 これにより、ミニ樽貯蔵により明らかに着色することがわかる。貯蔵中アルコール濃度はわずかに上昇していた。(図1)

 
  
 
  

図2に熟成酒を水で7倍に希釈したときの紫外可視吸収スペクトルを示す。


 熟成したものは280nmにはっきりとしたピークをもっている。
樽に由来する色素が溶出されたものと考えられる。
 以前、糖蜜色コレクション57.ラム酒でラム酒も280nmのピークを持っており、それがラム酒の銘柄によって異なることを述べた。
今回の観察結果から予想するとラム酒の280nmピークの差も熟成に使用した樽の成分や、熟成期間によるものと考えられる。

 図3に示すようにOD420nmとOD280nmは貯蔵日数とともに増加した。


 さて、アルコール発酵実験は今回を持って終了することにしたい。
というのは、このアルコール発酵実験は日本の酒税法に違反するおそれがあることが、つい最近インターネットで調べてみて分かったからである。
私は研究目的で僅かな量のアルコールを試作し、個人的に味わうのは問題ないと信じていたのであるが、どうやらアルコール濃度1%を超える醸造を行うこと自体が違反になるらしい。
例外として高校や大学で学問のために醸造するのは問題ないとのこと。
家庭で梅にホワイトリカーを漬けて梅酒をつくる場合は、同居家族だけが飲むことを認められているらしい。
 私の実験の場合、公的な研究機関ではないが研究目的であるので、問題ないようにも思われるが、そうだとかってに判断することはできない。
 主たる目的はサトウキビから作った黒砂糖の糖分を酵母に食べさせて、食べのこった成分を濃縮することにある。
 今まで、その方法としてアルコール発酵を行ってきたのであるが、今後は酵母を通気培養して酵母を増殖させ糖を食べさせる方法に変更したい。

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