127..続・強制倒伏させたサトウキビ 2017年3月14日

(1)はじめに

  97節「強制倒伏させたサトウキビ」の続編である。
  2016年1月4日に強制倒伏させたサトウキビの2016年7月2日までの経過は97節に記載したので、それ以後2017年3月11日までの経過をここに記録した。


(2)2016年7月以後の成長経過

 元株から芽生えたサトウキビは正常に生育した。
 倒伏させたサトウキビの茎から3株のみ新しい芽が出て生育したが、その生長度合いは元株からのものに比較すると劣っていた。
 倒伏させた茎はすべて枯れ死し、折れて土の戻った物もある。
 台風で倒伏した新株については、支柱で垂直に立て直すことはせず、なりゆきにまかせた。



(3)剪定後のサトウキビ

 元株から成長した新株についてはトラッシュを除去し、元株ごとに支柱を立てて起立させた。
 元株はAからHまで8株ある。(写真2)


 
 さらに、強制倒伏させた茎を切断して除去した。
 除去前後の状態を写真3に示した。
 



(4)切断した茎の状態

 1年前の茎(2015年に成長した茎)を強制倒伏したものは比較的軟らかく、内部はスエヒロタケ菌糸体が繁殖、外部は子実体が繁殖していた。
 2年前の茎(2014年に成長した茎)を強制倒伏したものは硬く、スエヒロタケはそれほど認められなかった。
 2年前の茎で倒伏させなかったものは、木質化し極めて硬くなっていた。スエヒロタケはまったく認められなかった。



(5)各株の根本の写真

 倒伏させた茎除去前後の根本の状態を写真5に示す。
すでに新しい芽が出ている。



(6)強制倒伏茎の詳細写真
 
 最も切断した茎が多かったF株の状態を写真6に示した。



(7)倒伏茎から成長した新株の状態

 A株およびB株の倒伏茎から成長した新株はまだ親株とつながってる倒伏茎が枯れた状態で残っていた。
 H株の場合は、新株が芽をだした倒伏茎は消失していた。






(8)倒伏株から芽生えた新株の成長
 3株の成長経過を写真10に示した。





(9)まとめ

 サトウキビは強制倒伏させても、そこから芽をだして繁殖するのではないかと考えて、この実験を行ったが新たに芽を出したのは僅か3株にすぎなかった。
土の上に倒れたサトウキビは微生物の感染を受けやすく、この実験ではスエヒロタケにより枯れ死した。
サトウキビは倒れたら起こすことが必要である。すくなくとも、倒れた後、自ら起き上がってこようとする茎を強制倒伏させることはやってはいけないことである。
 元株から成長した新株および倒伏茎から成長した3株については、今年は刈り取らず今後の経過を観察する。

研究日誌の最初のページに戻る