132. バガス置き場の変化 2017年5月5日
(1)黒砂糖作りにおけるバガスの生成とバガス置き場への蓄積
私の黒砂糖作りにおいてサトウキビからの副産物は図1のように生成する。
1)刈り取ったサトウキビはトラッシュ(ショウトウ部や枯れ葉を)除去して、これを刈り取った後のサトウキビ畑に戻す。
2)茎からジュースをしぼった残渣をバガスという。
製糖工場での商業生産では茎は粉々に破砕されるので、バガスもまた粉々である。
しかも、ジュースは洗浄してほぼ完全に回収される。
一方、私のバガスは茎の形状を止めているし、ジュースが残存している。
3)サトウキビ畑の土壌からサトウキビに吸収された養分はトラッシュの分は回収されるが、黒砂糖とバガスに移した分は肥料として
補ってやる必要がある。
トラッシュが腐植化して有機物は年々畑に増加していくはずなので、理論的には無機成分のみを補えば良い。
黒砂糖作りをはじめて以来、生成したバガスの全てを敷地内の置き場に放置し、その変化を観察している。
38節.バガスの変色、74節.バガスの変色 その2 を参照されたい。
(2)2015年12月から現在までのバガス置き場の変化
74節 バガスの変色 その2 の続きの記録写真を写真1から写真6に示す。
サトウキビの刈り取りが始まる12月から新しく発生したバガスが積み重ねられ、完全に刈り取りが終わる4月からは新しいバガスの供給はなく、次の刈り取りまで、ゆっくりと腐植化が
進んでいく。
(3)バガス表面の月次変化(写真7)
2015年12月2日は黒砂糖作りがはじまる直前の写真である。
2016年1月3日から4月5日は置かれたからまだあまり時間がたっていないバガス表面の写真である。
2016年5月1日には表面に糸状菌が発生している。
梅雨がはじまると水分が十分供給され、気温も上がるので微生物による分解が活発となり、バガスはどんどん縮小していく。
しかし、いつまでたっても分解されない成分がバガスにはある。
2016年10月1日、11月9日は木質化し抜け殻のようになったバガスの写真である。
2016年12月2日から2017年3月10日は新しいバガスで、まだ分解ははじまっていない。
(4)芯側、皮側バガスの放置
82節「サトウキビ茎の芯側と皮側部分からの黒砂糖」で発生したバガスを写真8のようにしてバガス置き場の横に放置した。
そのときの変化を写真9に示す。
芯側は放置後1週間ほどでカビのコロニーが発生した。(3月21日右の写真)
一方皮側はカビの発生に3ヶ月ほどかかったが(6月27日の写真)、両方とも表面にカビが繁殖した。
(5)バガス置き場はいつ溢れるのか
写真10に過去4年間の3月下旬におけるバガス置き場の状況を示す。
当然ながら、年々蓄積量は増加しているが、まだ当分溢れる心配はなさそうである。
微生物により分解されて減量化がおこっているためである。
バガスに付着している糖分などを分解する微生物はいくらでもいる。
私の目標はこのバガス置き場からリグニンなどの難分解性成分を分解する微生物を見つけることだ。
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