134.屋外に放置した黒砂糖の変化 2017年5月23日
(1)はじめに
2013年末から2014年はじめにつくった黒砂糖をプラスチックケースにいれて室温に保管しておいたら1年ほどして表面にカビが生えた。
そのまま捨ててしまうのももったいないのでプラスチックケースに入れたまま屋外に放置し、黒砂糖がどのように変化するかを観察した。
(2)放置方法
放置時期を図1に示すように第1期、2期、3期、4期に分けた。
第1期は蓋を軽く締めて軒下に置いた。外気は黒砂糖に触れるが、雨は入らない。
第2期は蓋を少し開けてサトウキビ畑の片隅に置いた。この場合、雨水は少し流入する。
第3期は蓋を完全にはずした。蓋が破壊されてしまったからである。この場合、雨は完全にはいる。
第4期も第3期と同じく、蓋ははずした。2月に液が完全に凍結した日を第4期の初日とした。
全体として放置開始日は2015年10月23日、終了日は2017年5月18日で放置日数は570日間であった。
第4期の終わりには、プラスチック容器が劣化し、すぐにも壊れそうになったので、放置を停止した。
(3)放置した黒砂糖の外観変化(写真1、写真2,写真3,写真4)
(4)表面中央部のRGB変化(図2)とRGB%(図3)の変化
第1期はR>G>Bの糖蜜色で大きな変化はなかった。
第2期はR,G,Bが同程度になった。雨水で黒砂糖が希釈され発酵による泡の発生が起こり、昆虫類が表面にトラップされ無彩色に近くなったからである。
第3期はトラップされた昆虫類が微生物に分解されてその残渣は底に沈み、液表面は鏡のようになり青空を反射してR<G<Bとなった。
第4期の最後には緑藻が発生しR<G>Bとなった、
(5)各時期のトピックス
①第1期
屋外に置くことにより、少なくとも春になればカビが増殖することを予想したが、カビの増殖も無く変化は認められなかった。
②第2期
雨水で黒砂糖が希釈されるとすぐに、発酵がはじまりブクブクと泡が出てきた。同時に蝿、蛾、蜂などの昆虫がその匂いに誘因されて液に入ってきた。
昆虫たちは、液から逃れられず、そのままトラップされてしまった。(写真5)
トラップされる昆虫が増え、液の粘度があがってくる。泡の発生は継続している。
容器の縁に蟻が集まってきた。(写真6)
③第3期
トラップされた虫が微生物に分解されていく。腐敗臭が発生した。(写真7)
残渣が全て容器の底に沈降し、表面は鏡のようになる。
青空、白い雲、生長したサトウキビが反射している。(写真8)
④第4期
液が完全に凍結した。(写真9)
晴天が続き、蒸発乾固した。もはや昆虫は形をとどめていない。(写真10)
風で飛んできた草木片が残っている。
桜が散る季節、緑藻が発生してきた。(写真11)
緑藻が繁殖し、液は深緑色となった。(写真12)
(6)最終液の残渣分離
最終液の中にイナゴが一匹浮いていた。死んでいるのかと思ったが、残渣を分離しようとしたら飛び出した。①②
ザルで分離すると多量の残渣が得られた。③④
ザルの濾液⑤をティッシュペーパーを濾紙にして濾過したところ⑥、緑色の最終濾液が得られた。
(7)最終濾液の蒸発乾固(写真14)
暗緑色の粉末が得られた。臭いはクロレラ粉末と類似していた。
(8)残渣の天日乾燥(写真15)
残渣の天日乾燥物の見掛けは土のようであるが、枯れ葉や木の実なども混在していた。
土のように見えるのは、昆虫や微生物の死骸に由来する腐植物質だと考えられる。
(8)おわりに
黒砂糖は水で希釈されない限り、その変化は目に見えないほど遅い。
しかし、一旦水で希釈されると(この場合は雨水)、すぐに発酵がはじまり糖は最終的に水と炭酸ガスになる。
発酵時の香りが種々の昆虫を誘引し、容器内にトラップした。
トラップされた昆虫も微生物に分解されて、腐植化される。
最後に繁殖するのはクロロフィルをもった微細藻類で、これが王者である。
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