153. シアノバクテリア出現前後の海の色 2017年11月16日


 約27億年前に酸素発生型の光合成をするシアノバクテリアが地球に存在するまでは大気中の酸素は極めて少なかった。(下図参照)
そのころに海にはFe2+が多量に溶解し緑色をしていたと言われている。
シアノバクテリアが酸素を発生するようになってからは、Fe2+はFe3+に酸化され、赤錆色の海になったであろう。
このあたりのシュミレーションを「糖蜜色コレクション185節」で行った。


 
 海の色は、空の色によっても変化する。
現在の曇の無い空色と言えばまさしくスカイブルーであるが、30億年前の空はそうでなかったかもしれない。


 写真1は前述のシュミレーションで各種色フィルターを透して照明したときの液表面を撮影したものである。
30億年前の空の色が推定できれば、この写真から海の色も推定できるだろう。

 
 インターネットでシアノバクテリア出現以前の空の色について調べた結果を表1に示した。
 これによれば、オレンジ色であるという推定が最も多かった。
 
 そこで、表2と図1ににオレンジ色フィルターで照明したときの液面のRGBをフィルターなしと比較して示した。

 

 
 オレンジ色のフィルターを透して照明すると明らかにR値が上昇している。
 溶解直後の黄緑色はオレンジ光の照射により、黄土色に近くなる。
 図2に各時期の反射光と吸収光のRGBと色見本を示す。
 反射光ではB値がほぼ0で,青色をほとんどすべて吸収していることがわかる。
 吸収色は当然ながら青となる。



 30億年前の海の色は緑ではなく、黄土色に近かったと推定できる。
黄土色は典型的な糖蜜色の一つであるが、当時の海の色は黄土色よりもRが大きく、Bは0となっている。
図3に塩化鉄の変色と糖蜜色類似色を比較したが、見掛けは似ていてもRに対するG,Bの比率は異なっている。

 

 今後、このような色の海で、どのようにしてパープルバクテリアやシアノバクテリアが出現したのかを考えてみたい。


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