161.サトウキビジュース蒸留留出液の紫外吸収スペクトル 2018年2月1日
(1)はじめに
サトウキビジュース濃縮中にOD200が減少するのは、200nm付近に吸収のある物質が揮発するためと考え蒸留(濃縮)中の留出液を採取しその紫外吸収スペクトルを測定した。
(2)実験方法
蒸留装置を写真1に示した。
サトウキビジュースは前節の図1実験方法に記載したように加熱前のジュースを抜き出したものである。
蒸留実験の方法と経過を図1に示した。
蒸留前後のサトウキビジュースの写真を写真2に示した。
(3)実験データ
実験データの一覧を表1に示した。
留出液は無色透明であった。
原料ジュースに対する累積留出量の比率の経過を図2に示した。
以後蒸留の経過は累積留出液量/ジュース比率で表す。
留出液は微酸性で30%が留出した時点のpHが最も低くなった。
(4)留出液の紫外吸収スペクトル
図4に示すように留出液には200nm以下に強い吸収を有する物質が存在した。
210nmと265nmに明瞭なピークが認められた。
(5)留出液のOD変化
図5にOD265nm、OD210nm、OD190nmの変化を示す。
OD210とOD190は蒸留開始後多量に留出し、その後減少する。
サトウキビジュースに最初から存在していた揮発性物質であると言える。
OD265は蒸留が進むにつれ増加する物質で、濃縮過程で生成する物質と言える。
サトウキビジュースを加熱すると青臭いサトウキビそのものの臭いから甘い糖蜜臭に変化する。
糖蜜臭の原因は265nmに吸収ピークを有する物質(芳香環を有する)と考えられる。
(6)まとめ
サトウキビジュースの留出液には190-210nmに強い吸収を有する物質が顕著に存在した。
ジュースの濃縮で200nm付近の吸収が減少するのは、この物質の揮発によるものと結論づけられる。
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