163. 2017年に生育したサトウキビの収穫 2018年2月19日
(1)はじめに
2017年の12月から2018年の2月は南国延岡も寒波に襲われた。
写真1は2018年2月2日の凍り付いたサトウキビ畑の様子である。
サトウキビは熱帯の植物だから寒さには弱い。私のサトウキビもすっかり寒さにやられてしまったようだ。
(2)サトウキビ畑の変化
写真2は第148節の続きで刈り取り前の様子である。
写真3は刈り取りを開始してからの様子である。
例年であると、サトウキビ先端部(ショウトウ部)は2月になっても緑色が残っているのだが、今年は寒さにやられて完全に枯葉色となった。
(3)前年度と今年度のサトウキビ刈り取り期間中の最高気温と最低気温の比較
図1に示すように今年度は昨年度に比較して最高気温、最低気温とも低かった。
特に12月の最低気温の差が大きい。
(4)刈り取り時のショウトウ部の色
写真4に刈り取ったサトウキビの写真を示す。また表1、図2、図3にショウトウブのRGB変化およびG/R,B/Rの変化を示した。
刈り取り時期とともにG/R、B/Rともに減少した。
(5)サトウキビ刈り取りデータ
刈り取りデータ一覧を表2に示した。
ジュースのBrix(図6)と茎重量あたりのジュース収率(図7)は刈り取り時期が後になるにつれて低下した。
ショウトウブのG/RおよびB/RとジュースBrixの関係をそれぞれ図8、図9に示した。
G/R,B/Rが1.1より低くなるとジュースBrixが低下することを示している。
(6)12月の気温とジュースBrixの関係
図10に収穫年度別の刈り取り日とジュースBrixの関係を示した。
栽培を始めた最初の年(2013/2014年)は最初からBrixが低く、刈り取り日が遅くなるにつれ、急激にBrixが低下した。
サトウキビ自体の成長(成熟)が十分でなかったためであろう。
本年度は最初のBriXは例年どおり高かったにもかかわらず、低下している。
図11には12月の年度別の日平均温度を比較した。
2017年は12月の最低気温が最も低かった。
図12に示すように最低気温と最低Brixは2013年を除外すると強い正の相関があった。
図13は最高-最低温度差と最低Brixのプロットである。
こちらは2013年を含めても負の相関が認められた。
12月の最低気温が低く、最高気温が高いほどジュースのBrixは低下する可能性がある。
(7)プロットごとの収穫本数
表3にサトウキビの刈り取り本数を示した。
黄色網掛け部分は刈り取らなかったプロットである。
D1とH1は4年間刈り取りをしていないプロットであり、側枝と記したプロットは芽生えが起こらなかったため側枝を苗として植え直したところである。
これらの生育状況については後述する。
表4には2017年6月9日時点での出芽サトウキビ本数を示した。(135節参照)
表3、表4の水色網掛け部分は発芽本数、刈り取り本数とも3本以下のプロットである。
表5は刈り取り本数から出芽本数を差し引いた値で緑色網掛け部分は変わらないか増加したプロット、赤茶色網掛け部分は減少したプロットである。
図14は出芽本数と刈り取り本数に正の相関があることを示す。
ただし、刈り取り本数>出芽本数になる場合と刈り取り本数<出芽本数になる場合の2つに層別される。
図15は出芽本数と刈り取り-出芽本数差には負の相関があることを示す。
出芽本数が多いプロットは成熟せずに枯れてしまう本数も多いことを示している。
(7)終わりに
12月に例年にない低温に曝されたことにより、ジュースのBrixと茎あたりの収率は減少した。
しかし、それだけにはとどまらなかった。
今年度は黒砂糖が飴状になってしまって苦労し、煮詰め条件を種々検討した。(156節、159節)
どうやら飴状化の原因は低温下によるジュースの品質変化にあるようなのだ。
この点について次節で詳述する。
研究日誌の目次に戻る