178.自家製黒砂糖の総ポリフェノール含量 2018年5月29日
(1)はじめに
私の研究室で、総ポリフェノールを分析できるようになったので、自家製黒砂糖の含量を測定してみた。
方法はフォーリン・チオカルト法を改変したものである。
この方法は真のポリフェノール量を測定するものではなく、サンプルの還元活性(抗酸化活性)を標準試薬のポリフェノールに換算して数値化したものである。
通常標準試薬としては没食子酸かカテキンが用いられるが、私は没食子酸を用いた。
また、種々の文献を調べてみると、研究者の目的に応じて適宜改変されていることが多く、抽出方法も異なっているので、絶対値を完全に比較することはできない。
ただし、同じ実験での相対値としての比較には確実に使用できる。
以下総ポリフェノールをTPP(Total PolyPhenol)と略記する。
(2)方法
実験方法を図1に示す。
また分析したサンプルを写真1に示す。
すなわち、自家製黒砂糖6種類と市販の黒糖および上白糖を使用した。
(3)実験経過と結果
実験経過を写真2に示す。
実験結果を表1と図2に示す。
(4)ブランクのODとTPPの相関
図3に示すようにブランクのOD280nm、OD330nm、OD420nmはTPP含量と強い正の相関がある。
図4にはブランクの紫外可視吸収スペクトルを示した。
(5)サトウキビジュース濃縮中のTPPの変化
黒砂糖No.2をつくったときの固形分変化、TPP含量の変化、固形分あたりのTPPの変化をそれぞれ図4,図5,図6に示す。
固形分あたりのTPPは濃縮工程では増加することはないが、最終煮詰めで強熱すると一挙に増加する。
すなわち、最終煮詰めで生成するメラノイジンがTPPとして分析されていると言える。
(6)文献値との比較
文献値の一例を表2に示し、私の分析値との比較を図7に示した。
研究室白砂糖の分析値を見ると私の分析値が高くでていることがわかる。
黒砂糖も高いが、桁が違うほどの差ではない。
1点特別に高いサンプルがあるが、これは加熱しすぎて色が濃くなったNo.2である。
(7)まとめ
自家製黒砂糖のTPPは最終煮詰めで強熱して色が濃くなったものほど高くなった。
強熱により生成するメラノイジンもTPPとして分析されるものと考えられる。
最終煮詰め以前のジュースおよび濃縮ジュースのTPPは固形分あたり 2.5~3.0 (mg-GAE/g-solid)で
工程中大きな変化はなかった。
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