181.クロレラ培養 2018年7月3日
私の愛読書の一つに「中村 浩 著: 糞尿博士・世界漫遊記」がある。(文献1)
糞尿を原料にしてクロレラを培養し、食糧を増産しようという信念のもと世界中を駆け巡られた波瀾万丈のお話しを読み、研究者かくあるべしと大いに感動したものであった。
私も会社員のころにクロレラをテーマにした仕事をできないかと画策していたのだが、ついに実現できず定年を迎えた。
今は自由の身であるので、趣味の研究としてクロレラの培養を思い立った。
ただし、原料は糞尿でなく水耕栽培用の肥料であるハイポネックスである。
実験方法を図1に示す。
最初にハイポネックスの至適濃度を見る実験を行った。
その経過を写真1に示す。
時間の経過とともにクロレラが増殖し液は緑色を帯びてくるのだが、6月23日にハイポネックス濃度の高いものは突如として緑色を消失した。
写真2と写真3は放置時の経過写真であり、そのRGB値を測定し表1に示した。
図2にはT値(R+G+B)の経過を示し、図3にはG%(G/T)の経過を示す。
これより最も緑色が濃くなったのはハイポネックス0.02%であることが分かった。
9日目の液を遠心分離したときの様子を写真4に示す。
液中のクロレラ濃度は低いので、液を重ねて5回遠心分離して細胞を集めた。
写真5に示すように、ハイポネッック濃度0.02%のときが最も細胞濃度が高かった。
ハイポネックス濃度0.04%以上ではクロレラは溶菌していた。
図4に放置9日目のpHを、図5にG%を示した。
両者には図6のような相関があり、G%が高いハイポネックス0.01%と0,02%はpHが9まで上昇していた。
それにしてもpH9とはずいぶん高い。
またハイポネックス濃度が高いところでpHが下がりなぜ溶菌するのだろうか?
この実験を始めたばかりの私にはまだ説明はできない。
次回はpHの経過を測定してみることにしたい。
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