187.(続)スエヒロタケが生えたサトウキビ茎の水浸漬 2018年7月26日
(1)はじめに
本節は研究日誌第91節「スエヒロタケが生えたサトウキビ茎の水浸漬」の続きである。
(2)浸漬の経過
2016年6月14日から2018年7月22日の浸漬経過を写真1と写真2に示した。
①蒸発した浸漬液は水道水で補填した。
②浸漬液は明らかに緑色に色づき、光合成微生物(シアノバクテリアもしくは微細藻類)の増殖が認められた。
③茎に付着していたスエヒロタケの子実体は2017年6月30日の時点で消失していた。容器の底にゴキブリの糞が認められたところから
ゴキブリに食べられたものと考えられる。
④2018年3月19日の時点で光合成微生物は大きなフロックとして沈降するようになった。
⑤2018年7月22日をもって浸漬を停止した。
(3)浸漬しなかった茎と浸漬した茎の密度の相違
①浸漬を終了した茎は写真3のように水洗し、60℃で一定重量になるまで乾燥した。
②乾燥した茎の内部を写真4に比較して示した。
浸漬しなかった茎は内部の構造が完全に残っているのに対しm浸漬した茎は内部が空洞になっていた。
③浸漬した乾燥茎は浸漬しなかった乾燥茎に対し密度は0.325/0.493=66%に低下していた。
茎の成分が溶け出し、光合成微生物の栄養源として使用されたためと考えられる。
(4)浸漬液の微生物フロックの分離
浸漬液の微生物フロックを写真5のように分離した。
フロックの顕微鏡写真を写真5に示す。
フロックは緑色で球状の光合成微生物と糸状体で構成されていた。
糸状体はシアノバクテリアである可能性とスエヒロタケの菌糸体である可能性がある。
(5)分離したフロックの培養試験
①分離したフロックにスエヒロタケ菌糸体が含まれているかどうかを見るために,サトウキビ茎にフロックを移植する実験を開始した。(写真7,8)
②光合成微生物の増殖を確認するためにハイポネックス培地での通気培養を開始した。(写真9)
③黒砂糖(サトウキビ成分)添加でどのような微生物が増殖するかを見る実験を開始した。(写真10)
(6)おわりに
茎浸漬実験の当初の目的は水浸漬によりスエヒロタケ子実体がさらに発生するかどうかを見ることであった。
子実体のさらなる発生は皆無であったが、浸漬液中に糸状微生物と球状の光合成微生物がフロックをつくって繁殖した。
今後は分離した微生物フロックについて実験を続けていく。
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