193.サトウキビシロップの菌糸塊2
本節は189節「サトウキビシロップの菌糸塊」の続きである。
写真1にサトウキビシロップ表面での菌糸塊の増殖経過を示す。
9月3日に培養を終わり、写真2に示すように菌糸塊と濾液に分離した。
写真3には菌糸塊を分割する様子を写真4にはその接写画像を示した。
分割した菌糸塊は写真5に示すように60℃で乾燥後、粉砕した。
図1には菌糸塊の乾燥曲線を示す。
培養物総量は図2のように放置時間に対して直線的に減少した。
主たる減少原因は菌糸が増殖するためにシロップの糖を消費し炭酸ガスを放出しているためである。
図3に放置開始時と終了時(20日目)の菌糸塊とシロップの重量比率を示す。
菌糸塊は16%から57%へと約3.5倍に増加した。
シロップは84%から43%へと約1/2に減少した。
pHは4.64から4.37に減少し(図5)、シロップのBrixは36.0から13.5に減少した。
表1に菌糸塊増殖中のマスバランスを推算した。
シロップBrixの減少は糖の消費によるものと仮定すると、105.9gの消費等の内30.4g(28.7%)が菌糸塊として生合成され、75.5g(71.3%)は生合成のためのエネルギー生産の
廃棄物として炭酸ガスになったと考えられる。
蒸発水分は7.1gで培養物総量減113.0gの6.3%であった。
乾燥菌糸塊粉砕品は冷凍保管し将来熱水抽出して、抽出物のMSG-グルコース系でのメイラード反応抑制効果の有無を調べてみたい。
濾過したシロップ(Brix13.5%)は一部の湿菌糸塊を添加して再放置した。さらなる菌糸塊の生成があるかどうかを見ることにする。
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