220.加熱サトウキビジュース沈殿物の総ポリフェノール(TPP)含量 2019年3月1日

 第217節「2018年生育サトウキビジュース加熱と灰汁分離」で述べた灰汁の沈殿物を凍結保存しており、これを解凍してフォーリン・チオカルト法によるTPP含量を測定した。
またコレクションの第267節「加熱サトウキビジュース沈殿の室内放置」で述べた放置沈殿物も凍結保存しており、これについても同様にTPP含量を測定した。

その実験方法を図1に示した。



 写真1は凍結保存していた沈殿、写真2は超音波抽出の様子である。



 写真3,写真4にはTPP測定過程を示した。

 

 図2には凍結融解した沈殿物の60℃乾燥固形分濃度を示した。



 図3には沈殿物固形分あたりのTPP含量を示した。
 1年室内放置した沈殿物のTPP含量だけが低かった。



 ブランクの紫外吸収スペクトルは図6に示すように、380nmにピークが認められた。
 OD380nmのデータを図4に比較した。これも1年放置した沈殿物のODだけが低かった。



 図5に示すようにTPP含量とブランクのOD380nmには一つのデータを除いて正の相関が認められた。
380nmのピークはポリフェノールの吸収に由来すると考えられる。




 沈殿物の固形分あたりのTPP含量の平均値は7.2 (mg-GAE/g)である。
 一方 178節「自家製黒砂糖の総ポリフェノール含量」図6によるとジュース固形分あたりのTPP含量は約3(mg-GAE/g)である。
 すなわちサトウキビジュースのポリフェノールは沈殿物(灰汁)に濃縮されていることがわかる。
 黒砂糖の紫外可視吸収スペクトルには380nmに吸収ピークはなかった。

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