228.松腐朽株残渣の室内放置 2019年4月20日

 糖蜜色コレクション第110節で枯れゆく松の木について記載し,第187節久しぶりの金堂ヶ池ではその後の松の切株の腐朽状態について記載した。
写真1はさらにその後の切株の変化を示したものである。
2019年の4月には切株はわずかに姿を留めているものの、大部分は腐植化し土と見分けがつかなくなっている。

 2017年の12月1日にこの切株残渣をサンプリングし、丼にいれてラップをして室内に放置してその変化を記録した。
1週間に一度、重量を測定し、水道水を添加して蒸発水分を補填した。
写真2に示すように最初大きな固まりであった残渣は次第に小さな粒に変わっていった。




 図1は水添加前後の重量と累積添加水量を示したものである。
 1年3ヶ月の放置中に添加した水は180gに達し、湿潤残渣は約100gであるから、その1.8倍の水が蒸発したことになる。
 1ヶ月あたりの水添加量(蒸発量)の変化を図2に示した。
 水添加量が多いのは1年目の1月~2月、9月~10月であった。
 決して気温の高い夏に水添加量が多いわけではなかった。



 

 放置期間中、残渣全体が微生物コロニーに覆われるようなことはまったくなかった。
写真3に示すような微生物コロニーを見つけるのは極めてまれであった。

 写真1の黄色に網がけした写真を選び、中央部を自動コントラスト調整をした拡大画像が写真4である。
 2018年12月~3月および2018年11月~3月は表面の水滴が反射して光って見える。
それ以外の次期は水の反射はなかった。
 写真4の白い円で囲んだ部分のRGBを図3にT値(=R+G+B)を図4に示した。
T値が低くなる(暗くなる)次期と表面の水滴が反射して見える時期は一致していた。
いずれも気温の低い時期である。


 

 

 

 水添加量とT値の相関を3つのグルーブに分けて図5に示した。

 

 グループ1はT値が高く気温が高い時期、グループ2はT値が低く気温が低い時期、グループ3のT値はグループ1と2の中間で
気温が低い時期であった。


 

 2019年4月15日の残渣を水に懸濁したときの顕微鏡画像を写真5,6,7に示した。
 写真5の糸状の物は残渣の線維か微生物の菌糸体かはわからない。
 写真6は明らかに残渣そのものである。

 

 写真7は微生物と残渣が混在していると考えられ、どれが微生物でどれが残渣かは判然としない。
 画像Dには緑色の光合成微生物が写っている。
 
 図7は200℃のホットプレートで乾燥(図8の乾燥曲線を示す)したときと、乾燥物をガスコンロで強熱したときの状態を示した。
 成分の内訳は81%が蒸発分(ほとんど水分)、燃焼分(有機物)が18%、強熱残分(灰分)が1%であった。
 

 


 この残渣の室内放置実験は継続し、どのような状態になるかを観察する。


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