242. タイでのサトウキビの生育経過と色変化 2019年7月31日

 タイに駐在していたころナコンパトム県にある工場で平日は過ごし、土日はバンコクのアパートに戻るという日々であった。
その寮の庭に写真1のようにサトウキビを植え、毎朝写真を撮ってその生長過程を記録した。
 サトウキビの品種はタイで製糖に使用されているLK13であった。

 サトウキビの生育相を①発芽期、②分蘖(ぶんけつ)期、③茎生長期、④成熟期、⑤生殖期の5相に分けたのが表1である。
 ①発芽期は種茎の節から1本の芽をだす時期
 ②分蘖期は①以外から芽が出て茎の数が増えていく時期
 ③茎生長期は茎がどんどん太く,長くなっていく時期である。
 ④成熟期はサトウキビの伸長がほぼ止まり、茎内のスクロース濃度が高まっていく時期である。
 ⑤生殖期は花が咲く時期であるが、この観察ではほんの僅かな花を咲かせただけで写真では分からない。
 種茎を植えてから刈り取るまでの観察日数は409日であった。
 この間、土日でバンコクに戻ったり、出張や1時帰国で寮にいなかった日以外はすべて写真に記録した。
 写真2は1つの株についてのもの生長経過を並べたものである。
















 サトウキビの上部、中部、下部(写真2で白枠で囲った部分)のRGB値の測定結果を表2に示した。











 表3は表2のRGBを各区間ごとに平均した値である。


 図1には区間平均RGBの経過を示した。
 ①上部:G>R>Bである。Rは成熟期に入り上昇、Bは茎生長期からゆっくりと下降した。
 ②中部:茎生長期まではG>R>Bであるが、成熟期にはR>B>Gの糖蜜色となる。
 ③下部:茎生長期末期からR>B>Gの糖蜜色となる。



 図2にG/Rの変化を上部、中部、下部で比較した。
 いずれの部位もG/Rは低下して行くが、その早さは下部>中部>上部の順であった。

 図3には各区間の平均RGBの色見本を示した。


 図4には上部、中部、下部別に 分蘖期、茎生長期、成熟期の平均RGBとその色見本を示した。

 茎が高くなると、下部には光があまり届かなくなり、光合成をするのは上部の葉が中心となる。
 下部、中部の葉はしだいに光合成の能力を失い、サトウキビには不要となるのでクロロフィルは分解され糖蜜色に変わっていくのである。


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