262.黒豆黒糖麹発酵4 2019年11月13日
第260節におけるホワイトリカー抽出残渣の性質を調べるために1%炭酸ナトリウム水溶液での抽出を実施した。
その方法を図1に示す。
写真1には抽出と遠心分離による残渣と上清の外観を示す。
写真2には抽出残渣を水洗浄したときの状態を示す。
写真1と写真2の上清を混合して写真3の混合上清を得た。
混合上清には濁度があり、これは油状の物質であった。
そこで混合上清1mlにホワイトリカー10mlを添加して混合したところ油状物質は溶解し、遠心分離しても沈降物も浮遊物も
発生しなかった。
図2には発酵日数と1%炭酸ナトリウム抽出固形分の残存率の関係を示す。
発酵0日と1日では残存率は90%を越えているが、発酵2日目以後は60%程度に減少した。
発酵により抽出残渣は1%炭酸ナトリウム水溶液に溶解しやすくなっていることがわかる。
図3に炭酸ナトリウム抽出液をホワイトリカーで希釈したサンプルの紫外可視吸収スペクトルを示した。
最大ピークは200~225nmに見られ、次いで260~280nmにもピークないしショルダーが見られた。
発酵日数0日のみ可視部の吸光度が高くなったが、色素物質ではなく僅かな濁度物質によるものである。
図4に示すように発酵日数とともに最大吸収波長は増加し3日で最大となった。図6に示すようにその最大吸光度も発酵3日がピークとなった。
図6に示すようにOD270nmも同様の推移を示した。
OD270nmと固形分残存率の関係を図7に示した。
発酵3日目の残渣には2日目と4日目に比較してホワイトリカーで未抽出のポリフェノールが残存していると考えられる。
ホワイトリカーでの抽出方法としては1段抽出でなく、少なくとも2段抽出をした方が回収率が高くなるであろう。
写真5にはホワイトリカー抽出残渣(本実験の原料)の顕微鏡写真を示した。
予想に反し、発酵日数によって大きな差は認められなかった。
抽出残渣の味はいずれも基本的に無味であった。しかし発酵2日以後はわずかな苦味が感じられた。
研究日誌目次に戻る