268. ベランダに置いたトレイ 1 2019年12月29日
第134節「.屋外に放置した黒砂糖の変化」の最後に濾過して得た残渣の天日乾燥物について記載した。
その天日乾燥物をステンレス製のトレイに入れたまま研究室2Fのベランダに放置した。
このベランダには屋根があり小雨は防げるが風に吹かれて入ってくる雨を防ぐことはできない。
本節ではベランダに放置したトレイの内容物がどのように変化するかを観察した。
(1)写真1. 2017年5月8日~8月19日
6月の梅雨になると水がたまり、風に吹かれて飛んできた枯葉が入ってきた。
7月になると光合成微生物が繁殖し緑色を呈するようになる。
(2)写真2 2017年8月21日~2017年12月9日
9月中旬から10月下旬にかけ台風が襲来しトレイは水で満杯になった。
10月下旬になると葉の流入が急激に増える。ベランダの横に竹林があるため主とし竹の葉で、流入直後は緑色をしているが
トレイの中でしだいに枯葉色に変色した。
(3)写真3 2017年12月26日~2018年5月14日
この期間は大雨はほとんどなく、堆積した枯葉は淡い糖蜜色となった。
(4)写真4. 2018年5月21日から2018年10月1日
雨が流入し、堆積物は常に湿った状態になり緑色の光合成微生物が繁殖した。
10月上旬は台風により水浸しとなった。
(5)写真5. 2018年10月8日~2019年3月11日
10月上旬に水浸しになった堆積物が乾燥していくが、3月になると大雨で水が満杯となった。
(6)写真6.2019年3月18日~2019年8月1日
3月上旬から6月上旬まで降雨による水の流入と蒸発を繰り返すが、それ以後は降雨が蒸発を越え、トレイは
常に水で満杯となった。
(7)写真7. 2019年8月12日~2019年11月18日
2019年は降雨が特に多く、トレイが水浸しの状態が10月末まで続き、11月になってようやく水が蒸発した。
(8)写真8には放置全期間中の色変化が一度に見えるようにしたものである。
大まかに言えば以下のような傾向が見て取れる。
①暖かく湿潤な6月~8月は光合成微生物が繁殖し緑色を呈する。
②台風の季節9月~10月は大量の水と風によって飛んできた緑葉の色が目立つ
③11月~5月は緑葉は完全に糖蜜色に変色する。
2019年度は異常に雨が多く、水浸しの期間が長かった。
階調を反転させた画像の色は全体として青色が多い。糖蜜色に見えると言うことは波長の短い青色を吸収しているということである。
(9) トレイの水位を5段階で図1に示した。
2019年は圧倒的に水位が高い期間が長かった。
(10)トレイの最終堆積物を表面から順に採取しNo.1、No.2、No.3、No4.とした。
その状況を写真9に示す。
(11)各堆積物を室内で乾燥した。その経過を写真10に示した。
No.4は量が多く、室内乾燥では一定重量にならなかったため、最後に60℃で乾燥した。
その乾燥曲線を図2に示す。
乾燥固形分を図3に比較した。
室内乾燥のみを行ったサンプルは表面に近いものが固形分が高かった。
(12)堆積物サンプルの重量分布を図4に示した。
各サンプルは1%炭酸ナトリウム水溶液により抽出を行い、その結果を次節で述べる。
研究日誌の目次に戻る