269. ベランダに置いたトレイ-2  2019年12月30日

 第269節で調製した乾燥堆積物のサンプルを写真1のようにミキサーで破砕し、これを1%炭酸ナトリウム水溶液に室温で
11日間浸漬して抽出した。その様子を写真2に示した。


 抽出濾液はいずれも糖蜜色をしており、その色の濃さはNo.1>No.2>>No.3>No4と表面に近い堆積物ほど大きかった。
 図1に抽出濾液のRGBを比較した。
 図2は抽出濾液の紫外可視吸収スペクトルを示した。
 図3はOD250nmを100%としたときの相対吸光度スペクトルを示した。
 一番底から採取したNo.4だけが他の3種よりも270-280nmおよび350-450nmの相対吸光度が大きかった。





 抽出残渣を写真3のように室内および60℃で乾燥した。
乾燥時の残存重量の経過を図4と図15に示した。
図6には室内乾燥中の含水率の変化を図7には蒸発速度の変化を示した。






 図7'は残渣を室内で乾燥させたときの含水率と蒸発速度の関係を示したものである。
 No.4の残渣は同一含水率において蒸発速度が他の3種より大きいことが分かる。


 写真4は抽出残渣乾燥物をプロパンガスコンロで強熱したときの経過である。
1回あたりの加熱時間は5分とした。
未燃カーボンがほとんどなくなるまで強熱残渣を水に懸濁して再加熱する操作を3回繰り返した。
いずれのサンプルも炎を上げて燃焼するが、No.4は炎の出方が小さかった。



 強熱残渣の重量の経過を図8に示した。
 最終強熱残渣の値を図9に示した。
 強熱残渣は底に近いほど大きかった。
 表1は抽出液のTotal OD420nm(色度)と強熱残渣量等との関係を解析するためのデータをまとめた。








 乾燥サンプル1gあたりのTotal OD420nmと強熱残渣には図10のような相関が認められた。
すなわち、抽出液の色度の小さいサンプルは強熱残渣が大きかった。



 乾燥堆積物量、強熱残渣重量、Total OD420nmの相対分布を図11に示した。
 No.1は色度の分布が大きく、No4は小さかった。



 図12は抽出時の乾燥固形分残存率である。
 No.4の残存率が著しく低く、抽出された固形分が多かったことを示している。


 図13には抽出液乾燥固形分の計算値を示した。No.4が圧倒的に高い。


 図14には抽出液乾燥固形分あたりのTotal OD420nmを比較した。
 底に行くほど固形分の色度は急激に低くなった。




 私は当初、底のサンプルほど長く放置されているので腐植化が進み1%炭酸ナトリウムで抽出されるフミン酸様色素は多くなるものと
考えていた。
しかし、結果はまったく逆で表面のサンプルほど色度は高くなった。
これは長く放置されたサンプルは腐植化過程を通り越して、酸化が進み有機物が水や炭酸ガスとして消失したためと考えられる。
底のサンプルほど強熱残渣(灰分)が多くなることもそのことを示唆している。

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