342. 退色したシアノバクテリアの再緑化 2021年2月27日

 最初緑色をしていたシアノバクテリアも長期間放置すると緑色が退色し薄い糖蜜色に変わる。
しかし、退色したシアノバクテリアフロックをハイポネックを添加した水溶液に移すと緑色が回復する。
このことは糖蜜色コレクション277節に記載した。
 今回は、別の実験で糖蜜色になったフロックを種々の濃度のハイポネックス水溶液に懸濁させ再緑化の経過を記録した。
その方法と経過を図1に示した。



 図2に放置懸濁液の外観経過を示した。
 ハイポネックス水溶液に懸濁した物は3日後には緑色を帯び、1週間後には緑化した。
 一方ハイポネックスを添加しない場合はまったく再緑化は起こらなかった。
 ハイポネックス濃度と緑化開始の順序は ①0.1% ②0.2% ③0.3% ④0.6%であった。
 図3にpHの変化を示した。 緑化が早い0.1%はpHの上昇が最も早く、次いで0.2%であった。
 0.3%は2月にはいってからpHの上昇が始まった。
 0.6%はpHは低下した。
 図4に電気伝導度の変化を示した。
 0.1%は最初から電気伝導度の低下が始まっている。
 0.2%もpHの上昇が始まったころに低下が始まった。
 0.3%と0.6%は電気伝導度は上昇を続けている。
 電気伝導度の減少は栄養分がシアノバクテリアに吸収されていることを示している。
 電気伝導度の上昇は栄養分はシアノバクテリアに吸収される以上にシアノバクテリアから電解質が排出されているものと考えられる。
 ハイポネックス濃度が過剰であると再緑化はおこるものの細胞の生合成は阻害され、中間生成物が排出されているのではないだろうか。

 この実験は引き続き観察と記録を続ける。
 期待される結果としては時間が経過すると0.1%は栄養不足になり、再び糖蜜色に戻るのではないかということである。
 また0.6%という過剰のハイポネックス水溶液の場合、シアノバクテリアが耐性を獲得して旺盛に生育するようになるかもしれない。

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