350.石灰処理をした糖蜜発酵廃液を脱色するシアノバクテリア 2021年6月7日
本節は第307節の続きである。
写真1に放置液の外観変化を示した。
2020年8月8日から8月15日は炭酸ガスを添加した。
8月15日にシアノバクテリアのフロックを分離し、濾液を炭酸ガス添加せずに放置を続行した。
濾液は当初透明であったが、2020年11月末から再びシアノバクテリアの増殖がゆっくりと始まった。
図1に液量変化と蒸発水分を補填した水道水の累積添加量の経過を示した。
図2はpHの変化を示した。8月15日にフロックを分離した濾液は12月中旬まではpH7.5~8の間で推移したが、12月中旬以後はpHは8を超えることが多かった。
濾液に僅かに漏れていたシアノバクテリアの再増殖により炭酸イオンが消費されたためと考えられる。
図3に電気伝導度の変化を示した。電気伝導度は8月~10月に0.4~0.5mS/cmで極小となり、その後は0.6~0.7mS/cmに上昇した。
遠心上清の紫外可視吸収スペクトルを図4に示した。
放置日数が進むほど210nmの吸光度が0になることが特徴的であった。
図5には放置開始時を100%としたときの相対吸光度スペクトルを示した。
図7に代表的な相対吸光度の変化を示した。
OD420nmはシアノバクテリア(CB)フロックが存在した60~90日でマイナスになっている。この理由は良く分からないが最終的にはほぼ0になっている。
またOD210nmも最終的にほぼ0になっており、カルボニル基を含む化合物が完全に消費されてことを示唆している。
OD320nmとOD260nmの残存率はそれぞれ10%と20%であった。
2020年8月15日に分離したバイオフロックをシャーレ上に置き、豆麹を添加して室内に放置した。
CBのバイオフロックが豆麹によって分解されることを期待したからである。(写真2)
写真3にシャーレ上に置いたバイオフロックの外観変化を示した。
シャーレには蓋をし、蒸発水分は1週間に一度水道水を補填した。
2020年12月15日以後フロックが分離して小さくなっている。
これはそれまで室内中央で常時LED照明下で放置していたのを、窓際での放置に変えたからである。
窓際では日中に温度が上昇し、水分の蒸発が激しくなり、フロックがパサパサの状態になり自然に分割されたのである。
図8にシャーレ上のバイオフロックの重量変化を示した。
シャーレを窓際においた12月中旬から水添加前の重量が減少し、乾燥が進んでrたことがわかる。
図9は累積水添加量であるが、シャーレを窓際に置いた12月中旬から添加量が上昇している。
シャーレ上おいたバイオフロックで豆麹が生育することはなく、また他の微生物のコンタミにより腐敗することもなかった。
これは私にとっては驚きであった。今まで扱ってきた発酵用微生物(酵母やバクテリア)を放置すると、まず自己消化がおこり、次いでコンタミ菌により
腐敗してしまうからである。
シャーレ上に放置したバイオフロックを2021年4月19日にハイポネックス水溶液に入れて放置したのが写真4である。
バイオフロックは再増殖を始めたように見える。
何という生命力であろうか。
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