360.石灰処理とシアノバクテリア脱色による石灰添加濃度の影響 2021年8月27日
第352節では糖蜜廃液をシアノバクテリア(以下CBと略)で脱色する際の石灰処理の有無について記載した。
本節では添加する消石灰の濃度を変えて、その影響を見た。
また添加するCBの量も第352節に比較して多くした。
写真1にCBペーストの調整経過を示した。
写真2は石灰処理の経過とその濾液へのCBペーストの添加状況を示した。
モデル糖蜜発酵廃液の調製法は第352節と同じである。
石灰処理濾液は各々約10gのCBペーストと混合してから炭酸ガスを吹き込みpHを8.0以下とした。
各処理液はシャーレを被せて室内の窓際に放置した。
写真3、写真4に放置経過を示した。
放置経過とともに脱色されていくのが分かる。
写真5は放置終了時(2021年8月14日)の濾過の状況を示した。
図1は炭酸ガス吹き込み前のpH経過、図2は炭酸ガス吹き込み後のpHの経過である。
図3は電気伝導度の経過である。
どのサンプルも放置10日で1.0(mS/cm)となり、最終的には0.8(mS/cm)となった。
図4は累積pH上昇の経過を示す。
消石灰添加量0.5%の累積pH上昇が特に大きかった。
図5に濾過残重量を図6に累積pH増を比較した。
いずれも消石灰添加量0.05%で最大となった。
消石灰濃度が高すぎると、燐酸が不溶性カルシウム塩として除去されてCBの生育に必要な栄養分が
不足するためと考えられる。
図7に遠心上清の紫外可視吸収スペクトルを図8に石灰無添加放置開始時のODを100%としたときの相対ODスペクトルを示した。
図9に代表的相対ODの経過を示した。
可視部の相対OD420nmはどのサンプルでも10日以上の放置でほぼ0%になった。
図10に消石灰添加濃度と代表的相対ODの関係を示した。
放置19日で相対OD420nmを比較すると、消石灰添加濃度0.05%以上でほぼ0%となった。
図11にCB添加量の少ない第352節とCB添加量の多い本節の放置19日目の相対ODを比較した。
明らかにCB添加量を多くすれば相対ODが低くなる。
今回の実験で分かったことは、①消石灰の添加量は0.05%で良いこと。② CB添加量が多い方が良いことである。
次回は消石灰添加量は0.05%で一定にし、CB添加量を大きく変化させてその影響を見ることとしたい。
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