362.ハイポネックス濃度とシアノバクテリアの増殖量 2021年8月31日
第342節「退色したシアノバクテリアの再緑化」において緑色を失ったシアノバクテリア(以後CB)はハイポネックス水溶液に
懸濁して窓際に放置すると再緑化が起こることを示した。
本節ではさらに放置を続行し、ハイポネックス(HP)濃度によりCBの増殖がどのようになるかを見た。
写真1,2,3に第342節以後の放置経過を示した。
放置の開始は2020年11月23日で終了したのは2021年8月22日であったので、総放置日数は272日となった。
2021年8月23日に放置を停止し、CBフロックを濾過し、濾過残渣を水洗して乾燥した。
その状況を写真4に示した。
放置中のpH変化を図1に電気伝導度(EC)の変化を図2に示した。
また図3には電気伝導度減少の変化を示した。
ハイポネックスを添加しない場合、ECの減少はなかった。
ハイポネックス濃度が高くなるほどEC減少の開始は遅れた。
ハイポネックス濃度が0.3%以上では放置初期にはECはむしろ上昇した。
これは高濃度のハイポネックスはCBの増殖が阻害され、光合成中間産物の有機酸が液中に漏洩してECを上げているためではないかと考えられる。
図4にはハイポネックス濃度と放置終了時の乾燥残渣量(乾燥CB量)の関係を示した。
最も乾燥CB量が高くなるのはハイポネックス濃度が0.3~0.4%のときで、0.6%では低下した。
図5にはハイポネックス濃度と放置終了時のEC減少の関係を示した。
ハイポネックス濃度が0.3%を超えるとECの減少(すなわちミネラルの消費)が飽和となった。
図6に示すように乾燥残渣量とEC減少には強い正の相関が認められた。
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