363.黒豆黒糖麹発酵物抽出液の長時間メイラード反応抑制作用 2021年9月2日
第309節「黒豆黒糖麹発酵物抽出液のメイラード反応抑制」では以下の結論を得た。
①ホワイトリカー抽出液にはメイラード反応抑制作用は認められない。
②熱水抽出液にはメイラード反応抑制効果が認められる。
このときのメイラード反応はMSG-グルコース系で40℃*10日間反応させたものであった。
そのときのメイラード反応液は密封したガラス瓶にいれて室内に1年間保存した。
このたび、そのガラス瓶を開封し、吸光度の上昇を測定した。
表1はホワイトリカー抽出液を添加したサンプルの色変化であり。
1年間の保存によりメイラード反応が進行し、著しく暗色化しているのがわかる。
表2は熱水抽出液を添加したサンプルの色変化であり、熱水抽出液を1mlと2ml添加したものは明らかにメイラード反応が抑制されていた。
理由は不明であるが、熱水抽出液0.5ml添加したものは液表面に微生物が繁殖していた。無添加より暗色化しているのは微生物繁殖のせいかもしれない。
図1,図2,図3は吸光度増スペクトルである。
図4はホワイトリカー抽出液添加量と相対OD増の関係を示した。
Y-3だけが50~60%に相対OD増が抑制されていた。
図5は熱水抽出液添加量と相対OD増の関係を示した。
明らかに相対OD増は抑制されており、Y-2では2mlの添加で相対OD増はほぼ0%であった。
メイラード反応抑制作用は Y-2>N-2であった。
Yはジュースの沈殿物を含む重液から製造した黒砂糖を原料に使用したものであり、Nはジュースの沈殿物を除去した清澄ジュースから
製造した黒砂糖を使用したものである。
今回の実験で黒大豆(きな粉)と黒砂糖を混合して豆麹で発酵した生産物の熱水抽出液に長時間メイラード反応を抑制する効果があることは
確信となった。
この1年間、シアノバクテリアによる糖蜜発酵廃液のメラノイジン脱色研究に集中していたため、メイラード反応抑制研究は休止していた。
今後は原料に使用する黒砂糖とジュース沈殿物の比率を変え、メイラード反応抑制作用に及ぼす影響をまず確認したい。
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