388. シアノバクテリア再生貯蔵槽 2022年4月5日

 シアノバクテリア(CB)を使用した実験をするときに新鮮なCBが必要である。
そこで、必要なときに採取できるCBを貯蔵しておくことを考えた。
今までの実験から緑色を消失したCBをハイポネックス水溶液に入れて光をあてておくと再緑化することがわかっている。
 今回は図1に示したような方法でCBを再生し貯蔵しておくための通気培養槽を考案してみた。


 通気培養の経過を写真1に示した。
 緑色を消失したCBフロックはしだいに緑色を回復し、CBの濃度も増加していくように見える。


 写真2は培養槽を別の場所に移してからの経過である。
 CBの大部分は底に堆積し、または内壁に付着し浮遊しているものは殆どない。

 
 培養中、被せてある金網でCBが増殖して金網全体を覆うようになった。
 その状態を写真3に示した。
 私が注目したのは頭頂部の色が緑ではなく青色になっていることである。 

 写真4は金網に繁殖したシアノバクテリアの色調を比較したものである。
 顕微鏡観察を行うために爪楊枝でサンプリングを行ったが、青色は最表面のみでその直ぐ下は緑色であった。


 写真5に金網表面集落の顕微鏡画像を示した。
 最初に添加したCBは糸状細胞が主体であったが、金網で繁殖したものはすべて球状であった。

 図2に顕微鏡画像の細胞中央部分の色調を比較した。
 コロニーの色調ほどには色調差はないが、青色部分の細胞は青色(B)の比率が高かった。
 なぜ金網頭頂部のみ青色細胞ができる理由は分からないが、以下の2つが起因しているかもしれない。
 ①頭頂部は光が最も多く当たりやすい。
 ②頭頂部は液飛沫が最も到達しにくく、乾燥しやすい。
 


         
 2022年1月22日午前1時8分に日向灘を震源とする震度5強の地震が発生し、培養槽の金網は床に落ち、金網のCBコロニーは
大部分剥がれ落ちてしまった。その様子を写真6に示した。

             

 写真7は金網落下以後の経過である。

 2022年1月21日に通気を停止し、CBフロックを濾過した。
 湿CBフロックの回収量は73gであった。
 最初および途中で添加したCB量は測定していないが、外観から見て増加しているのは間違いないと思う。
 湿CBフロックの約22gを別の実験に使用し、残ったCBフロックは再度通気培養槽に入れた。
 濾液を水道水で希釈し、ハイポネックスを9g添加して通気を再開した。
 その様子を図3に示した。
 次回はCBフロックの重量増、EC減等のデータを取得することにする。
 


 写真8にCBフロックの顕微鏡画像を示した。
 槽内のCBは金網とは異なり糸状細胞が主体であった。

 荒っぽい方法ではあるが、これにより常に新鮮なCB細胞を確保することができるようになった。

 研究日誌の目次に戻る