440. シアノバクテリア再生貯蔵槽2 2023年7月28日
本節は第388節の続きである。
写真1~写真9に再生貯蔵槽の経過と網カバー上に繁殖したバイオフィルムの色別被覆率を示した。
図1はpHの経過である。
時期により上がり下がりはあるものの全体としては2023年5月までは上昇傾向にあり、その後急激に低下した。
図2は電気伝導度ECの経過である。
ECは2023年5月までは低下し、その後 1mS/cmで一定となった。
ECの低下はハイポネックスとして添加したミネラルがシアノバクテリアに消費されたためである。
図3には室温の経過を示した。
図4にECとpHの関係をプロットした。
2023年6月19日以前は両者には負の相関が認められた。
すなわち、ミネラルの消費とともにpHは上昇したと言える。
6月19日以後はECは1.0ms/cmでほぼ一定で、pHは低下した。
図5には網カバーを外して上から撮影した槽内画像のRGBおよびRGB%の測定結果である。
図6は槽内RGBの経過である。
経過とともにR,Gは大きく上昇し、Bは僅かに上昇した。
図7は槽内RGB%の経過である。
R%のみが経過とともに上昇し、G%とB%は減少した。
すなわち、経過とともに緑と青の色素は減少していると考えられる。
図8は網上のバイオフィルム被覆率の経過である。
緑色のフィルムは4月、9月、3月の室温があまり高くも低くもない時期に増加し、灰色-黒色のフィルム
8月の暑い時期および12月~1月の寒い時期に増加した。灰色-黒色フィルムは死滅した集団であると
考えられる。
室温が低下し始めた11月~1月に緑色のフィルムの一部が青色のフィルムに変わり、6月まで被覆率は
装荷したが、7月になり気温が上昇すると消失した。
図9に室温とバイオフィルム被覆率の関係をプロットそた。
緑色フィルムの被覆率は室温30℃以上で低下、青色フィルムは室温25℃以上で低下した。
灰-黒色フィルムは30℃以上で急上昇した。
シアノバクテリアの至適生育温度は30℃以下であると言える。
図10に示すように7月17日の槽内液を沪過したが、、濾過性は極めて悪く、24hr放置してもろ紙上の残存物は個体には
ならずスラリー状であった。
バイオフロックスラリーの一部は別の実験に使用し、大部分は再度沪液と混合した。
沪液には新たにハイポネックス10gを添加し、通気を再開した。
写真1にバイオフロックスラリーの顕微鏡画像を示した。
貯蔵前と同じく糸状のシアノバクテリアが主体であるが、今回はコイル状のものも高い頻度で確認した。
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