454. 蛇の骨を添加したシアノバクテリア懸濁液 2024年1月5日
本節は糖蜜色コレクション第537節「蛇の死骸5」の続きである。
写真1においてNo.1は蛇の骨無添加、 No2は太く短い骨の粉砕物を添加、No.3は細く長い骨の粉砕物を添加し、微生物(主としてシアノバクテリア)
とともに沪液に懸濁したものである。
懸濁液は室内の窓際に放置しその変化を記録した。
放置により、その懸濁液もシアノバクテリアフロックは増加し、特にNo.2は内壁面に多量の微生物フィルムが付着した。
写真2の2023年11月6日に内壁付着フィルムをかきとった。
写真3に示すように11月下旬からNo.1は緑色が褪色し糖蜜色になったが、No.2とNo,3は緑色を維持していた。
2024年1月1日に懸濁液を沪過し、沪液および沪過残渣の状態を確認したのち、再懸濁して放置を再開した。
写真4は2023年6月26日の放置開始時の状態と2024年1月1日の再懸濁、再放置開始時の状態である。
①骨を添加していないNo.1はフロックが増加し、緑色が褪色している。
②太く短い骨を添加したNo.2はフロックが大きく増加し、緑色を維持している。
③細く長い骨を添加したNo.3はフロックが増加し、緑色を維持している。
これより、蛇の骨にはクロロフィルの緑色を維持する成分が含まれていることがわかる。
またNo.2はNo.3に対し骨の量がおよそ8倍多くなっており、骨の成分がシアノバクテリア増殖の栄養源になっていると言えよう。
図1にpH経過を示した。
No1のpHはNo.2,No3よりpHが高く経過した。
No.2,No3は骨から酸性のリン酸が供給されるのに対し、No1にはそれがないためではないかと考えられる。
図2は最終沪液のpHの比較である。
図3はECの比較である。
図4は沪過残渣と沪液の重量である。
沪過残渣のシアノバクテリアと骨を分離することはできず、沪過残渣は両方の合計値である。
No.2は多量の骨と多くのシアノバクテリアが増殖したので沪過残渣が最も多いのは良く理解できる。
一方No.3は骨が添加されているにもかかわらず残渣重量はNo1より低くなっていることは意外であった。
図5は沪過残渣と沪液の重量比率である。
ここでもNo.3の沪過残渣比率が最も小さかった。
写真5は沪過残渣と再懸濁液の外観である。
No.2には大きな骨が残っていることが明らかであるが、No.3は肉眼では骨の残存は確認できなかった。
写真6は沪過残渣の顕微鏡画像である。
No.2とNo.3には骨が残存していることが確認できた。
シアノバクテリアはいずれも糸状細胞であるがNo.1は極めて長い細胞が絡み合っていた。No.2は細胞径が大きかった。No.3の細胞系はNo.1より小さかった。
蛇の死骸のうち最後まで残ったのは骨だけであるが、この骨も長い時間をかければ溶解し、シアノバクテリアの栄養源となるのではないかと私は考えている。
今後顕微鏡下でも骨が消失していくことを期待し、観察を継続したい。
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