478.サトウキビ搾汁茎残渣の水浸漬 2024年8月5日

  搾汁した後の茎残渣(以下バガスと呼ぶ)は通常屋外のバガス置場に放置される。
バガス置場に放置されたバガスは放置経過とともに減量し、バガスの分解物はコセンダングサなどの雑草の栄養源となる。
それではバガスを水に浸漬して放置したらどうなるであろうか。
これを観察するために写真1のバガスを写真2のように水槽に入れて室内に放置した。



 図1は水槽内の水温の経過である。
 冬→春→夏と季節が進むにつれて水温は直線的に上昇していた。
 図中に外観を観察した期間の写真番号と顕微鏡観察した写真番号を示した。



 写真3は浸漬直後から4日までの経過である。
 最初透明であった浸漬液はしだいに濁っていく。
 濁りの原因は写真4に示すように酵母や細菌の繁殖によるものであった。



 写真5は2月1日から3月26日の経過である。
 表面に浮いていたバガスは沈み水表面はバイオフィルムで覆われるようになった。


 写真6は4月2日から4月30日の経過である。
 表面のバイオフィルムは撹拌して破壊しても、すぐに再生した。



 写真7は5月6日から7月30日の経過である。
 このころになると表面にコバエの成虫が多く浮いているのが観察された。一方コバエの幼虫(ウジ虫)はまったく見られなかった。
 表面のコバエは掬い取り、新たに水道水を添加して浸漬を続行した。
 コバエが少なくなったころ表面では白いバイオフィルムが急速に形成された。
 6月11日は表面が泡立っているのが認められた。このときの水温は26℃まで上昇していた。
 バイオフィルムは週に一度掬い取り、新たに水道水を添加して撹拌し、浸漬を続行している。


 写真8は4月16日の表面のバイオフィルムと浸漬液の顕微鏡画像である。
バイオフィルムはカビの菌糸と胞子であった。
また水中には多くの細菌が認められた。


 写真9は7月9日に採取した白色バイオフィルムの顕微鏡画像である。
 バイオフィルムはカビの菌糸体であった。


  浸漬しているバガスは定期的に取り出す、洗浄乾燥して保管している。
 浸漬試験はさらに継続し、終了した時点でバガスの変化を見ることにしたい。

 
 研究日誌の目次に戻る