28. クローブ 2014年8月4日
クローブの色はまぎれもなく糖蜜色である。(「ワンダムおじさんの糖蜜色研究」 2.3 糖蜜色類似色を選ぶ Page55)
クローブについては、私のホームページでもすでに何度か登場しており以下のような特徴をもっている。
①クローブは最も抗酸化力の強い食品の一つである。①
②クローブはDHA油の異臭発生防止について驚異的な効果を持っている。②
③クローブのウオッカ抽出液の色は各種スパイス抽出液の中で最も暗かった。③
④クローブのウオッカ抽出液の色はタイ市場で入手した薬草の中で最も暗かった。④
クローブはクローブの木の花の蕾を乾燥したものであり、写真1のような形をしている。
このクローブ、今は容易に手に入り、日本ではトンカツソースにも使用されている。
しかし、大昔はそうではなかった。
「スパイスストーリー、欲望と挑戦と、 B.S.ドッジ著、白幡節子訳、 八坂書房、1994年」の記述をそのまま引用すると次のようになる。
「17世紀のオランダ史の研究者、ジョン・ロスロップ・モトレーは、人間の歴史に中で、別の香辛料が果たした恐ろしい役割について記述している。
『 人間の気質というものは、考えてみると不思議である。(ヨーロッパの)世界は、それまではクローブ(丁字)がなくても、まったく快適な暮らしを営んでいたのだ。しかし、17世紀のはじめ頃、この芳香のある雌しべをめぐって、多くの激戦や陰湿な戦争が起こり、また互いに中傷したり、権謀術数をめぐらせたりするようになって、世界の運命はクローブという特別な植物が生えているかどうかで左右されるように思えた。クローブの甘い香りが原因で、大国はいくら血を流しても、洗い流すことのできない苦しみを経験することになった。今ではごくありふれた香辛料で、簡単に手に入るから、何千人もの乗員の命をかけて、買いつけるだけの価値があるとは思えないが、かっては、それを手に入れるために文明国が争うほどの価値があった。』
クローブの原産地はインドネシアのモルッカ諸島である。
大航海時代にモルッカ諸島のクローブを巡ってどのような争いがあったかは、下記の著作をごらんいただくとよいだろう。
生田 滋、 ”大航海時代とモルッカ諸島”.ポルトガル、スペイン、テルナテ王国と丁字貿易、中央新書、1998
私はモルッカ諸島に行ったことはないが、1993年にスマトラ島のトバ湖を観光で訪れたときに写真2のようなクローブの木を見た。
そのとき、クローブの蕾はできておらず、葉だけであったが、葉からもクローブ特有の甘い芳香がででていることがわかった。
現在、世界で生産されるクローブの半分はインドネシアのクローブ入りタバコに使用されているという。
タバコのきざみ葉60%にクローブ40%を混ぜて紙でまいたものでインドネシアでは人気の紙巻きたばこである。
今はどうかわからないが、私がインドネシアに駐在していたころはインドネシアの空港待合室にはこの臭いが漂っていた。
そんなにインドネシアの人に人気があるなら、日本でも喜ばれるだろうと思い愛煙家の義父にお土産として買っていった。
一服もしないうちに「これは吸えない。こんなまずいタバコはない。勘弁してくれ。」と言われてしまった。
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