464. 黒豆きな粉添加濃度と麹発酵TPP収量 2024年3月3日
第462節表3で検討した沈殿物と黒豆きな粉培地組成を用いて麹発酵を実施した。
培地調製経過を写真1に麹発酵の経過を写真2に発酵物の熱水(煮沸)抽出の経過を写真3に示した。
図1は発酵物の重量変化、図2は重量減少変化、図3は黒豆きな粉添加濃度と重量減少の関係を示した。
これによれば新たなきな粉を添加していないNo.1のみ重量減少が少なく、発酵が進んでいないことがわかる。
麹菌は新たなきな粉に良く増殖すると考えられる。
No1は生ジュースの煮沸時にきな粉から栄養素の多くが、沈澱に移行せず精製ジュースに移行したものと考えられる。
新たなきな粉の添加量は少量で良いことから、その栄養素は微量あれば良いものと推察される。
表1に熱水抽出液のバランスと総ポリフェノール(TPP)抽出量の計算結果を示した。
TPPはフォーリン・チオカルト法を用いた。
図4にきな粉添加濃度と熱水抽出液バランスの関係を示した。
きな粉添加濃度が増加するほど抽出沪液の比率が高くなった。
図5にきな粉添加濃度と抽出TPP量の関係を示した。
抽出TPPは新たなきな粉を発酵に添加しなかったNo.1(きな粉1.6%)が特に少なかった。
図6に抽出沪液の紫外吸収スペクトルを、図7に可視吸収スペクトルを示した。
図8に示すように最大ピーク波長はきな粉添加濃度の増加とともに短くなり、図9に示すように最大吸光度も低くなった。
きな粉添加濃度が増加するほど抽出沪液のOD260nm(図10)、OD420nm(図11)ともに減少した。
図12に示すように抽出沪液のOD420nmとTPP濃度には正の相関が認められた。
表2に生ジュース1kgあたりの抽出TPP収量を計算し、図13にきな粉添加濃度との関係を示した。
これによればTPP収量が最も高くなるのは0.45-0.8%のきな粉添加濃度であった。
表3に結果の総合評価を行った。
①抽出ポリフェノール収量は満点で10点とし、それ以外の項目では5点満点とした。
図4のきな粉添加濃度と総合評価点数の関係をプロットした。
これより生ジュースに対する黒豆きな粉の添加濃度は0.5%付近が最適であると結論する。
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