479.窓際に置いたバガス置場残渣添加糖蜜発酵廃液の蒸発量の差異 2024年8月10日
第475節でバガス置場残渣を添加した糖蜜発酵廃液の脱色経過について記載した。
このときに驚いたのは図1に示すように累積水添加量が多いサンプルほど上清OD420nmが低くなること、また図2に示すように
累積水添加量が少ないサンプルほど瓶空間部内壁でのバイオフィルムが多いことであった。
累積水添加量が多いということは蒸発量が多いということにほかならない。
窓際の同じ場所にサンプルを置いているというのにそのようなことがなぜ起こるのか疑問であった。
蒸発量に差があるということは、水温にも差があるかもしれないと考え、水温を測定したのが表1である。
その結果、図3に示すようにサンプルによって大きな差があった。
室温は35℃であるが、水温は最高50℃に達していた。
水温と累積水添加量は正の相関があり(図4)、上清OD420nmには負の相関(図5)、フィルム量評価点数には負の相関が認められた。
これだけ水温に差が出るということは、太陽光の当たり方に差があるとしか考えられず、サンプルが置かれている窓の状態を調べてみた。
図7は窓の外側から見た状態である。
No15~No.20の窓の外側には網戸がありここにシアノバクテリアが繁殖し、太陽光を遮っていることが分かった。
図8には内側から見た窓の状態を示した。
No.15は窓のフレームが太陽光を遮りNo.16~No.20は網戸(ここにシアノバクテリアが繁殖している)が遮っていることが分かった。
それでは窓ガラスが汚れていないNo.1、No2、No3は何が太陽光を遮っているのであろうか?
それは前方にある高木の樹木の生い茂った葉によるものだと考えられる。(図9)
図10に瓶空間部内壁へのバイオフィルムの付着状態の差がでることの説明を示した。
この実験はバガス置場の深さによって糖蜜発酵廃液を脱色する能力のある微生物に差があることを研究しようとすることであった。
しかし、脱色は太陽光の光そのものによっておこり、太陽光が強いほど脱色度合は高くなると考えるべきである。
そもそも水温が50℃にまで上昇するようであれば多くの微生物は死滅するであろう。
私は完全に太陽光の繊細さを完全に見誤っていたようである。
この実験は当初の目的とは外れてしまったが、このまま継続してどこまで脱色が進むか、添加したバガス置場残渣がどのように
変化するかを見届ける予定である。
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