503.赤紫色サトウキビ葉の色素抽出 2025年3月9日

 第2サトウキビ畑の刈り取りをしているとき赤紫色に変色した葉を見つけた。(写真1)
 写真2は赤紫色部分のみ切り取ったサンプルである。
 赤紫色をしていたのは葉の表側だけであり、裏側は緑色のままであった。
 葉のサンプルは写真3のように袋に入れて-20℃で冷凍保存した。


 第292節において赤紫色葉から熱水抽出により色素の抽出を試みたが、抽出液の色は赤紫色ではなく黄色であった。
 その後、文献調査をしてみたらサトウキビの赤紫色はアントシアニンであり、アントシアニンの抽出には70%メタノールが用いられる
 ことを知った。
 そこで、今回は写真4に示す手順で70%メタノールによる抽出を実施した。

 得られた抽出液は緑色であったが、塩酸でpHを下げると赤紫色に変色することが分かった。(表1)
 図1には抽出液のpHとRGB%の関係を示した。
 pHの低下によりR%が上昇し、G%が減少、B%はほぼ一定であった。


 抽出液1mlを種々の濃度のHCl水溶液で希釈し、その可視吸収スペクトルを測定した。
 表2は希釈液の外観、図2は可視吸収スペクトルである。
     
 いずれのサンプルも670nmにピークを持っていた。赤色の光を吸収するピークである。
 HClを添加しないサンプルは505nm(緑色)に吸収はないがHClを添加すると増加した。
 420nm(紫色)はHCl無添加サンプルで著しく大きく、HClの添加で急激に減少、そしてさらなる添加で増加した。
 

   図3,図4,図5にそれぞれHCl濃度とOD670nm、OD505nm、OD420nmの関係を示した。
   
 以上の挙動から赤紫葉の色素はアントシアニンであると言えよう。
 70%メタノール抽出残渣を写真5の方法で無水エタノールによる抽出を行った。
 この方法ではクロロフィルが抽出されているはずである。
 抽出液は緑色をしており塩酸を添加しても赤紫色にはならず緑色を保っていた。
 従って大部分のアントシアニンは最初の70%メタノールで抽出されたと考えて良い。

 しかしながら、抽出葉残渣の主葉脈部分にはまだ赤紫色が残っていた。
 そこで赤紫色部分を切りとり、再度1%HCl:メタノール=30:70水溶液で抽出を行った。
 室温24hrの抽出では赤紫色色素はまったく抽出できず、ホットプレートで沸騰するまで加熱することにより、ようやく赤紫色の抽出液を
 得ることができた。
 それでも抽出残渣にはまだ赤紫色が残っていた。


 表3に各抽出段階での抽出葉残渣の色調変化を、図6にRGB%を比較した。


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