535. 無処理糖蜜発酵廃液長期放置最終節 2025年12月27日
本節は 第399節の続きであり、本観察について記述する最終節である。
無処理糖蜜発酵廃液の室内窓際放置を始めたのは2019年5月(349節)であるから今年の12月で6年7ヶ月が経過したことになる。
写真1は2022年8月1日から2025年12月2日までの経過写真である。
緑色をしているのはシアノバクテリアであり、いずれ他の微生物により分解されていまうのはないかと考えていたが、そのようなことは
起こらず、変化は認められなかった。
驚くべきシアノバクテリアの強靭さである。
これ以上放置しても変化は認められないと判断し、2025年12月17日で観察を停止した。

図1は蒸発分を補填するための累積水添加量の経過である。

図2は沪液pHと沪液のECであり、2022年8月と比較しpHは上昇し、ECはやや低下している。


表1は放置液を混合したときのRGB経過である。

図4は表1から計算したG/Rの経過である。
冬になるとG/Rが低下し、夏には上昇していることがわかる。

図5は最終放置液の固液分離の経過である。
沪液にはシアノバクテリアが漏れているが、それを遠心分離すると完全に透明な上清が得られた。
写真2は沪過残渣と沪液遠心分離残渣の顕微鏡画像である。
いずれも球形のシアノバクテリアであるが、大きさは沪過残渣>沪液遠心分離残渣である。

図6は遠心上清の紫外可視吸収スペクトルである。可視部の吸光度は限りなく0に近いが紫外部には吸収があり、ピークは240nmであった。

図7は放置開始時(2019年5月)と放置終了時(2025年12月)の紫外可視吸収スペクトルの比較である。


図8は放置開始時を100%としたときの放置終了時の残存吸光度スペクトルである。
可視部の残存率は0.5%未満であるが、紫外部250nmにピークがあり残存率はは6.5%であった。

遠心分離上清は図9および表2に示すように60℃乾燥機で濃縮した。
濃縮は進むにつれ液は黄色を帯びてくるので、可視吸収物質が僅かに(0.5%以下)残存していることは明らかである。

表2に示すように濃縮倍数が22倍になったころから結晶の析出が始まった。
写真3に詳細な顕微鏡画像を示した。


最終濃縮液(55倍濃縮)にエタノールを添加して沈澱を生成させ、遠心分離で沈澱と上清に分離した。

エタノール沈澱上清に水を添加し、最初の沪液液量重量に調整し、その紫外吸収スペクトルを測定した。
また残りの液はホットプレートで加熱して蒸発乾固させた。
蒸発乾固物は微量で手持ちの電子天秤の精度では測定できなかった。

図10はエタノールによる沈澱除去前後の紫外可視吸収スぺクトルである。
これより除去された沈澱物は250nmに極大吸収を有し、沈澱除去後の液の極大吸収は210nmにあることが示された。

写真4はエタノール添加沈殿物の顕微鏡画像である。
不定形の粒子が凝集しているように見える。
乾燥した沈澱物は触ってみるとゴムのような感触があった。

表5はエタノール沈澱乾燥物をプロパンガスコンロで強熱したたときの経過である。
最初は黒くなったが最終的には灰色の粉末となった。

写真5はエタノール沈澱強熱残分と溶解液蒸発乾固物の顕微鏡画像「である。
強熱残分は無機物の固そうな粒子、蒸発乾固物は柔らかな鱗片状粒子に見えた。

表5に示すように最終放置液の遠心上清にはエタノール乾燥沈殿物が0.23%残存していた。
その強熱残分は0.01%であるので、0.21%は有機物と推定される。

暗色の糖蜜発酵廃液も長期間放置すれば自然に混入したシアノバクテリアにより脱色化されることは明白である。
ただし脱色に要する時間は膨大で、排水処理として利用するには広大な池がないと困難である。
脱色速度を飛躍的に上げる方法はないものかと思案しているところである。
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