409. 続続々サトウキビ茎浸漬実験 2022年10月31日

本節は第303節の続きである。
第303節に続き、洗浄乾燥した前回の浸漬茎をバイオフィルムとバイオフロックを除去した沪液に再度浸漬し窓際に放置した。
ペットボトルの蓋は空気が入るように緩く締めてある。
放置経過を写真1~写真8に示した。









 2022年の10月27日に放置を停止し、浸漬茎を取り出した。
 写真9に示すように浸漬茎の表面にはバイオフィルムが形成されていた。


 写真10はバイオフィルムを剥がして洗浄した茎と回収したバイオフィルムである。
No.1,No.3,No4の茎は洗浄中に折れてしまった。


 写真1には60℃で乾燥した洗浄茎の状態を示した。


 写真12は場バイオイルムの顕微鏡画像である。
 いずれも球状と糸状のシアノバクテリアが混在していた。
 No.5は球状のもの数珠状につながったものが存在し、No.1~No.4とは様相が異なっていた。

 
  茎を取り出した浸漬液にはバイオフロックが沈降または浮遊していた。
 これを沪過したときの経過を写真13に示した。
 No.1は粘質物が多く、沪過が著しく悪かった。
 No.5はペーパータオルのろ紙を通過したシアノバクテリアが多かった。
 得られた沪液にはリン酸カリ液肥(0-10-7)を1ml添加し、水道水で500mlに調整し、次回の浸漬液として使用した。


  茎に付着していたバイオフィルムと浸漬液のバイオフロックを合わせて60℃で乾燥した。
 その状態を写真14に示した。
 No.1は著しく沪過が悪く多くの水分が残っていた。
            

 図1に茎重量を示した。
 図2に茎に付着していたバイオフィルムの重量を示した。



図3に洗浄茎の水分を示した。
No.5の水分は他の茎に比し少なかった。




 図4に浸漬を開始してからの乾燥茎重量の変化を、図5に乾燥茎重量減少累積値を、図6に相対乾燥茎重量変化を示した。




 前回までは乾燥茎重量は急激に減少したが、前回から今回までの減少は小さくなった。
 特にNo.5は前回から減少していなかった。

 バイオイルム+フロックについて図7に乾燥前の重量を図8に乾燥後の重量を図9に乾燥固形分を比較した。
 図9を見るとNo.1の固形分が最も低く、No.2とNo.3が中間、No.4とNo.5が高かった。
 放置開始時に浸漬液に添加したシアノバクテリアはスエヒロタケが生えたサトウキビ茎を水に浸漬したときに浸漬液に発生したものである。(第187節) 
 そのときの浸漬液を静置した時の上層部に由来するするのがNo.1,No.2であり、下層部に由来するのがNo.3,4,5である。
 






 今回の放置で増加したバイオイルム+フロックの乾燥重量と乾燥茎の重量減は図10のような関係にあう。
 シアノバクテリアの増殖と茎受領重量の減少には関係があると考えられる。



図11に沪液pHを比較した。



図12にはバイオフィルム+フロック乾燥重量と沪液pHの関係を示した。
図13には沪液pHとバイオフィルム+フロック乾燥固形分に負の相関があることを示した。
現時点でこれらの因果関係の理由を説明することはできないが、興味ある現象である。





 洗浄乾燥茎は写真15のように再浸漬再放置を開始した。
 シアノバクテリアは炭素源は空気中の二酸化炭素からまた窒素源は空気中の窒素から得ることができる。(正確には「得ることができるものもある」。)
 しかし、カリとリンは添加してやらないと枯渇する。
 そこで今回はリン酸カリ肥料を添加することにした。
 こえによりさらなるシアノバクテリアの増殖がおこり、サトウキビ茎重量がどこまで減少するかを見極めたい。



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