401. 叢に放置したスモモの果実 2022年9月1日
昨年(2021年)6月に収穫したスモモの果実を、二つの場所にバスケットに入れて放置して極めて興味深い結果を得た。
写真1に果実収穫前後のスモモの木の状態を示した。
写真2に放置開示時の状態を示した。
放置場所Aは第二サトウキビ畑の隅であり、放置場所Bはバガス置き場の近くの叢である。
このころバガス置き場の近くにはクサイチゴが繁茂していた。
写真3に放置後1ヶ月の状態を示した。
A,Bとも果肉は失われつつあるが、両者に見掛け上大きな差はなかった。
写真4には放置後2か月の状態を示した。
A,Bとも内部の果肉は失われ、表面に果肉/果皮の残渣のみが残っている。
Bは完全に雑草に覆われ、雑草をかき分けないと写真撮影はできなかった。
両者の色は光線の差異により違って見えるが、状態はほとんど変わらない。
写真5は放置後3か月の状態を示した。
この時点でAとBには大きな差が認められた。
すなわち、Aは表面に果実/果皮残渣が多く残っているのに対し、Bは残渣が剥がれてて種が露出しているものが多く、
全体の個数も大きく減少した。
8月6日から9月4日の1ヶ月に何が起こったのだろうか?
写真6は放置後4か月の状態だる。
Aは表面残渣が剥がれていないが、Bはさらに脱離が進み。小さな種はバスケットの網目を通過して外にも出すものもある。
写真7は2021年10月29日の状態である。
この時にBをバガス置き場の近くからAと同じ場所に移動した。
バガス置き場から全バガスを回収し、その周りの叢をなくしたためである。
このときの状況は下記を参照されたい。
研究日誌2021年367節 雑草とともに生育するサトウキビ その3
研究日誌2021年371節 バガス置き場のバガス回収
この時点のAとBの状態は放置4か月とほとんど変わらなかった。
写真8に放置6ヶ月、写真9に放置7ヶ月、写真10に放置8ヶ月、写真11に放置9か月、写真12に放置10ヶ月、写真13に放置11ヶ月、
写真14に放置12ヶ月の状態を示した。
この間、A,Bとも大きな状態変化は認められなかった。
写真15にほぼ毎日撮影した経過を示した。
果肉がなくなって表面残渣と種だけになった2021年10月以後はほとんど変化は見られない。
色が濃い画像は雨が降って濡れているとき、色が薄い画像は乾燥しているときである。
叢に放置したBが大きく減量した理由は次の2つが考えられる。(写真16)
叢に放置するとすぐに野鳥がやってきて食べる。
写真はそのときにバスケットからこぼれ落ちた果実である。
もうひとつは表面残渣が剥がれて種だけになり、バスケットの網を通過して漏洩するためである。
放置終了時Bのバスケットの下には多くの種が落ちていた。
減量の寄与は前者より後者が圧倒的に大きいと考えらえる。
表面残渣が剥がれる2021年8月7日以降にBの放置場所で何が起こっていたかを写真17に示した。
8月11日バスケットが完全に雑草に覆われ、見えなくなったので8月14日にバスケットまわりの除草を行った。
この時点では表面残渣の剥がれはまだ起こっていない。
その後、突然残渣の剥がれが開始し、同時に周りの草の枯れが進行してくことが分かった。
写真18は1年間放置したAとBの残存物である。
Aの表面残渣剥がれは起こっているものの、Bと比較するとその比率は少ない。
このサンプルは風乾して保存しているので、後ほど定量的に比較してみたい。
そこで糖蜜色コレクション2022年449.落ちたスモモの果実2の記録を思い出した。
写真19に示すように2021年に落下した果実は表面残渣が残っており、これは叢には放置していない。
一方2020年に落下した果実は表面残渣が消失しており、これは叢に落下してしばらく叢に放置しているのだ。
そこで2020年に叢に落下した果実の表面残渣が剥がれいくときの写真をもう一度見直してみた。
(糖蜜色コレクション2020年382.落ちたスモモの果実)
その状況を写真20に示した。
すると何と、表面残渣が剥がれるときには周りの雑草が枯れて行くのである。
写真21にはそのときの葉色変化を示した。
周りの雑草が枯れていくときに何らかの化学物質が発生し、それがスモモの皮を剝がしやすくしているのかもしれない。
来年スモモの実がなるまでにうまい検証方法を考えてみたい。
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